十三夜 ページ13
「ねぇ、パパ、この本の続きってある？」
「あるぞー、ちゃんと買ってきておいたからな！！」
Aは一週間ほどでまたさらに成長した。今は小学校低学年ほどだろうか、とマイクは考えていたが、どうにも気がかりなことが一つできていた。
それは義務教育だ。小学校に行かせなくても大丈夫なのか、という不安に駆られ、試しに一度施設へと電話をかけてみた。
「……ということで、Aを小学校とかに行かせなくても大丈夫なのかっていう……」
『なるほど。Aちゃんはなんて言ってました？』
「えーっと、まだ話してないですね……」
ちらりとAの方を見ると、彼女は不思議そうに本を持ったままマイクの方へと顔を向けていた。
『でしたら、一度相談してみてください。成長速度も相まって、彼女も彼女なりに考えることが増えてきたでしょうし……今はそういう子対象の通信制の小学校もありますし、よく考えてあげてください』
その日の夜、マイクは夕飯の時に一度箸を置いて「なぁ」と声を掛けた。
「学校、行ってみたいか？」
口元まで運んでいた一口サイズのハンバーグはAの口の中へと入ることは無かった。静かに皿の上に戻し、マイクの顔を見る。
「私知ってるよ、学校ってぎむきょういくなんでしょ」
黄色いピンによってよく見えるようになったAの目は、真っ直ぐとマイクを見据え続ける。それは信頼の証か、はたまた自分に対する不信感なのかはいまいち検討がつかなかった。
「行きなくないよ」
「……そうだよな」
無理もない。彼女は外の世界を知らなすぎる。学校、というのも彼女の認識では「たくさんの人が集まってお勉強をするところ」であり、知識だけの認識なのだから。
そう思いマイクは言葉を続けようとするが、それを遮るようにAは口を開いた。
「だって、パパと一緒にいる時間がへっちゃう」
その言葉にはっとさせられた。同時に嬉しかったのだ。彼女がこれほど素直に好意を寄せてくれている言葉を発して、自分と居たいと言ってくれた気持ちが。
「だ、だよな！ 俺もそう思ってたんだ！ だから通信制の……」
「パパも私と一緒にいたいんだ」
目を三日月型にして笑うAは、この間笑った時よりも大人になっている。
「もちろんだよ」。そう返しながらも、未だ個性も分からず急成長する理由も分からないA。
Aは今、何を考えて生きているのだろうか。
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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