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外側から無理やり口を開けられ、苦い液体と共に肉の味がする。 匂いは分からない。 でも邪魔な布切れとガラスのような何かは飲み込んでしまおうと、顎に力を込めた。
馴染みのある匂いだった。 幻聴なのか、悲痛にも似た叫び声と似合わず嘲笑うかのような声まで。
「 ……重い」
飛び込んできたのは自分の部屋の天井。 シャワールームで水を浴びていたはずなのに、どうやってここまで戻ってきたのか。
重い。というのは身体全体が、ではなくて正確に言えば上半身だけが石でも載せられているみたいに重たいのだ。
原因を探ろうと目線を下げれば直ぐに判明。
「 フロイド、起きろ」
目を閉じてぐーすか眠るウツボが一匹、今退かせるだけの力はない。 寝起きの彼は手荒く面倒だが、自分から身体を動かそうにも言うことを聞いてくれない。
ベッド脇に目をやれば、ここにも同じように眠りこけるアズール。
「 アズール」
「 ……起きてますよ」
「 ……」
この返事の時は大体起きていない。 睡眠中の無意識で返す言葉がコレでは紛らわしいと言ったらありゃしない。
寝ぼけたフロイドに締められるのも疲れるし、二人が居るということは恐らくは……
「 お目覚めですか、Aさん」
どうしようもない状況になってから敢えてやってくるジェイドに、あとは任せるしかあるまい。
「 ジェイド、飯くれ」
***
「 今日はラウンジ休みの日か?」
「 いいえ。 貴方のせいで僕等三人は学校を早上がりせざるを得なかったんです」
「 バカ言うなよ、俺はシャワールームにいてお前らに電話なんて掛けてない」
掛けていない記憶はないが、掛けた記憶もない。
水を浴びていたその後からの記憶が全くない状況で、俺が寝ぼけてアズールに助けを求めたとでも言うのか。
身に覚えの無い罪状に、眉を顰めれば、フロイドが吹き出したかのように笑いだした。
「 ちげーって、ナマズちゃんは別に誰にも電話なんて掛けてない。 ナマズちゃんを心配したアズールが俺とジェイドにメールしてきたんだって」
「 フロイド!」
「 ばーっちし、証拠写真も動画も残してあるから」
スマホを操作して目前に差し出された写真には、
ワニに戻った俺と、その俺に噛みつかれて動けなくなって青ざめた顔をするアズールの姿。
「 ナマズちゃんがフロイドに昔噛み付いたって話聞いてさあ、俺一度でいいから見て見たかったんだ〜
はははっ!! やべえ、ちょーウケる」
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愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
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