愛してね40 ページ40
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二十歳になった私は、高校での友人、棗ちゃんに誘われてある喫茶店に来ていた。アンティークで大人っぽい店だ。
「私らもう二十歳になったんやし、こういう店入っても子供扱いされんやろ!」
『あはは…。』
棗ちゃんは子供扱いされそうだけどね、という言葉を呑み込み注文を取る。
「…高校の時に転入してきた相川って、結局よくわかんない奴だったなぁ。」
『…そうだね。一ノ瀬先生も若いのに私達の卒業後教師辞めたらしいし。』
「天宮も普段ふわふわしてたけど少し大人びてたってゆーか…。」
高校生の頃の思い出話を友人とするとは思っていなかったが、こうやって思い出してみれば可笑しな点が幾つかあった。
人見知りなまふくんが一ノ瀬先生と天宮君にだけは初対面な筈なのにすらすらと喋れていたことも、一ノ瀬先生が相川真冬は転校してったって皆に嘘を言うことを何も言わずに了承したことも。
あの三人はもしかして、あの学校で会う以前に面識があったのかもしれない。
まあ、今さら考えても意味なんてないんだけど。
「お待たせ致しました。タピオカミルクティー、カフェオレ、ショートケーキがお二つで以上でしょうか。」
『あ、はい!ありがとうございます。』
「あざーす!」
運ばれてきたタピオカを棗ちゃんは勢いよく飲む。私もケーキを口に入れながら棗ちゃんとの話を楽しんだ。数十分後、棗ちゃんがトイレ行ってくる!とトイレに走って行ってしまった。
『喫茶店なんだから、少しは大人しくしようよ…。』
呆れたような目を棗ちゃんが走って行った方に向けると、何処からか視線を感じた。視線を感じた方に目を向けると、長身の男が眼鏡越しに私をじっと見つめている。
私と目が合うと優しく微笑み、立ち上がって私の元に向かって歩いて来た。
『あ、の…?』
「……美人さんになったね。」
何処かで、聞いた事のある声が耳に届いた。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年11月18日 19時) (レス) @page44 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
むうた - れもんさん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて嬉しいです!れもんさんにもいつかプロポーズしてくださる方が現れますよ…!閲覧ありがとうございました (2020年7月28日 19時) (レス) id: ba5583f0b3 (このIDを非表示/違反報告)
れもん - 神、神だあ'-' うちもプロポーズされたあい(一生叶わぬ夢) (2020年7月28日 14時) (レス) id: f89d8dd67f (このIDを非表示/違反報告)
むうた - ~Hikikomori~さん» 返信遅くなってすみません…!!嬉しいお言葉ありがとうございます!恐縮です!更新頑張ります…! (2020年7月26日 18時) (レス) id: ba5583f0b3 (このIDを非表示/違反報告)
~Hikikomori~ - 続きが気になる…神です…神すぎます… (2020年7月19日 16時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
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