猫拾ったらその猫に愛を求められた。【まふまふ】

愛してね31 ページ31

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登校中の学生や、通勤中の大人達は目の前の光景に言葉を失っていた。愛しい人を傷つけられて、もちろん彼が黙って見ている訳がなく、近所の人達によって捕まえられた轢き逃げ犯を殴り続けている。

彼の赤い瞳はギラギラと鋭く光っていて、周りにいた人達は酷く怯えたようにその行為を見ていた。




「お前のせいで、お前があの子をっ！！」

「…おいやめろって坊主！！お前刑務所行きたいのか！？」



轢き逃げだ、とあの時叫んだ男は彼を後ろから犯人と引き剥がす様に相手を殴り続ける腕を掴む。青年は怒りを顔に表していて、周りは彼の顔を見るだけで怯えてしまっていた。



「僕は、あの子がいなくちゃ駄目なのに…この男はあの子をっ…！！」

「わかったわかった！！分かったから、一度落ち着け！…お前さんも、人殺しになりたくはないだろう…！？」

「…っ、……わかり、ました。」



少しずつ落ち着いてきた彼を見て、男は安堵の息を吐いた。この男が止めて居なければ、彼は犯人を殺して刑務所行きになっていただろう。

落ち着きを取り戻した彼を見て我に帰った通行人達はゆっくりとその場を立ち去っていく。



その数分後に、救急車と警察がやってきて彼女と青年は救急車に。犯人と青年を止め、通報をした男が事情聴取の為にパトカーに乗った。



救急車の中で静かに呼吸をする少女の手を握って、死なないで、と悲願する彼の目は黒く濁っていて、今にも人一人殺せそうなくらいで。






「…早く君と両想いになれれば、」


君と幸せに暮らせるようになるのに。

そう呟く彼を見て、一緒に乗っていた救急隊員は唾をごくりと飲み込んだ。


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