嫌いな言葉 ページ36
12月。
あの時の先生の噂話は本当だったらしく、侑くんは東京に合宿に行ったらしい。
何で真美はわざわざ私に報告してきたんだろう。
合宿に行くという噂話が事実になったことを知った治くんの表情は、うまく会話が続かなかったことからどこか複雑そうな感じがした。
私には良く分からないけど治くん自身のバレーボールに対する思いを知ったのかな。
『ねぇ治くん。治くんが何考えているのか分からないし、二人のバレーボールに対する思いとか、部活風景なんて知らないけどさ、あの時こんなことがあったおかげで今自分はここに立ってるって思えるように頑張ってみようよ!...なんてクサいよね、何様だよって感じだよね〜』
兵庫に来る前、私は部活が全国レベルのスポーツ校に通っていてみんなが努力しているのを見てきたからこれぐらいしか言えなかった。
治くんは私のそんな言葉に励まされたのか分からないけど、部活に今までより打ち込むようになったみたい。
だからか治くんは最近顔を見せなくなった。
私はというと...
下半身の痛みは事故った時より痛みは和らいで包帯の箇所も減ってきた。
それでも足は動かないから車椅子生活が始まった。
見えないからいつも誰かが行きたいところまで押してくれる。
一回試しに自分の腕で押してみたけど思い通りに進まないし相当な力が必要で、腕が痛くなるわで出来なかった。
翌日肩から腕全体がひどい筋肉痛で重くなった。スムーズに車椅子で行動している人を尊敬するレベル。
私が車椅子で生活するなんて考えていなかったな
いつまでこんな生活が続くんだろう。
いつからかみんなには悪気はないのは分かっているけど、みんなから励ましてくれる「大丈夫」って言葉が嫌いになった。
大丈夫か大丈夫じゃないか分かるのなんて私だけなのに...
何を根拠に簡単にそんなことが言えるのかとかめんどくさいことばかり考えてしまう。
普通に生活している人が羨ましい。
外に出たい。
この部屋が、この病院が刑務所みたいに感じてしまってストレスが溜まっていることを実感した。
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作者名:うぃるうぃる | 作成日時:2022年1月15日 23時