私の命を助けてくれた人はとある騎士でした (ページ5)

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私の相談相手ページ5

「名前なんて言うの？」

緊張を紛らわすために淹れて貰ったお茶を飲んでいたら、そんな事を聞かれた

『如月Aです』

「Aかぁ。可愛い名前だねぇ」

『あ…ありがとうございます』

「……ところでさぁ、なんで死のうとしてたの…？」

さっきまでの表情とは違い、真剣な顔で聞いてくる

泉さんになら相談出来るかもしれないと思い、私はゆっくりと話しだした

『…… お父さんはギャンブルに明け暮れていて…負けてストレス溜まってるからって
　いつも私を殴るんです』

泉さんは、ずっと私の目を見てしっかり話を聞いてくれた

父に今までされた事を少しずつ話していった

話しているうちに、だんだん心が苦しくなってきて涙が出てきた時、彼は泣き止むまでずっと

私の背中をさすってくれていた

「Aは頑張ってるんだねぇ。偉いよ、生きてて偉い」

そう言ってずっと優しい言葉をかけてくれる彼を見てるとまた安心して泣きそうになってくる

「…良いよ。好きなだけ泣いて、Aの今まで我慢してた事全部吐き出してよ」

『ごめんなさい…こんなに優しくして貰ったの初めてで……』

「辛かったねぇ…でも、もう安心して。Aはずっと俺の家に居ていいから」

『……っえ？……ずっと？』

「ここまで相談聞いて家に返すバカが居ると思うのぉ？」

『でもそれまずいんじゃ……』

「なんで」と首を傾げる泉さん

『だってアイドルじゃないですか…仕事の都合だってあるし、邪魔する訳にもいかないので…』

「…俺の仕事の事なんて心配してないで、まずは自分の事心配してよねぇ」

まず傷の手当てかな…と大量に絆創膏や包帯を取ってきてくれた

「こんなにボロボロになって……可愛い顔が台無しだよ」

一つ一つの傷を丁寧に手当てしていってくれる

全身にある数えきれないほどの傷に絆創膏を貼るだけでも1時間ほどかかった

『わざわざすみません……初対面でこんなに迷惑かけちゃって……』

「全然迷惑なんかじゃないよぉ…というか連れてきたの俺だし」

『お優しいんですね。本当にありがとうございます…！』

そんな事を言っていると気がつけば7時頃になっていた

「そういえば、Aお腹空いてない？」

『大丈夫です。あまり食欲ないので…』

そう言おうとした時、ぐう〜とお腹が鳴った

やばい、恥ずい

「もう…そんなになるまで食べてなかったらだめだよぉ…」

『でも食欲がどうしてもわかなくて……』

「う〜ん…じゃあちょっとだけ待っててねぇ」