lethal weapon*1 ページ27
「せ、せせせ先輩〜っ!!あの、なんか、さっき蓮巳先輩らしき人から変な電話があって!!」
ぶち破る勢いでドアを開けると。
けたたましく音を立てるな、と腕組みをしながらソファに腰かけている先輩に叱責された。
「あっそうですよね、ごめんなさい──ってそうじゃない! 大変なんです!」
優雅にコーヒーを嗜まれてるとこ申し訳ないけど、大事件だから! これはそう、天変地異ってやつ!
「蓮巳先輩(仮)さんがなんて言ったと思います?! なんとですね、『決勝戦の余興としてライブをしてくれないか』ですよ! しかもめっちゃ声真似うまいんです!」
声帯模写のプロとして食ってけるレベルだった。つい騙さるとこだったよ。
「あの蓮巳先輩が俺なんかにそんな重大な任務課すはずないし、すぐに『あっ偽物だ!!』って気づきましたけど。まいったもんです、新手のオレオレ詐欺ですかね」
まあ一応、電話越しに指定された部屋(空き教室)に赴いたものの。なんて悪趣味な──んん?
「あれ? なんで蓮巳先輩がここにいるんです?」
「俺がここを指定したからに決まっているだろう」
蓮巳先輩が、ここを指定……。
言葉がリフレインして、頭の中がハテナでいっぱいになる。
てっきり偽物がいるもんだとばかり思っていたんだけど。
蓮巳先輩の言い分では、まるで先輩があの電話をしてきたみたいじゃないか。
「まあここを指定したのは俺ではなく……」
蓮巳先輩がチラリと、即席で作ったのであろう部屋を仕切っているパーティションを見た。つられてそちらに目をやれば。
「やけに元気な声がすると思ったら……。もう来ていたんだね、A」
天使を彷彿とさせる純白の衣装を身につけ、優しい微笑を浮かべる英智さんが、ゆっくりと姿を現した。
「英智さん?!」
「驚かせちゃったかな。ここは現在、fineが楽屋として使っているんだ。手狭だけれどゆっくりしていってね」
「は、はい……え? あの、えぇー……んっと……」
そうじゃない。俺が気になってるのは、そうじゃないんだ。
困惑している俺を見ながら、くすくす、と英智さんは口元を綻ばせ、蓮巳先輩の隣に柔らかく腰を下ろした。それから、対面のソファへ座るよう手で促す。
「これどういう状況ですか?」
尋ねつつ、とりあえず従って──うわっソファめっちゃふかふか!わたあめかよ! えっえっ、ふんわふわ!
「僕の家に遊びにくれば、いくらでも座らせてあげるよ」
「ほんとですか?! やった!」
あれっ?
思考回路、読まれてるな??
英智さんを見ると、イタズラっ子のように笑っていた。蓮巳先輩はというと額に手を当てて深い深いため息を吐いていた。
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!素敵なお話をありがとうございました!もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー!! (4月7日 0時) (レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです! (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです!是非!お願いします! (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです!すごく楽しく読ませてもらいました! (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです!受験勉強後回しにして(?)2日で読み終わりました!ぜひ!続編読ませて欲しいです! (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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