ストレッチ*１ ページ43
「くしゅんっ！」
「あ、Aくん風邪？」
両手で口を塞ぐ俺の顔をゆうたが「大丈夫？」と覗き込んでくる。
今は二時限目のダンスの時間。一年Ａ組と合同で行う予定だったはずが、Ａ組の前の授業が長引いてしまったらしく体育館にはB組の生徒しかいなかった。そんで、授業が始まるまで、俺はゆうたと体育館の隅で話してるってわけ。
「へ、へっっくち！」
「ああもう、また。Aくんのその風邪、絶対にずぶ濡れだったせいだよ」
みなまで言うな。俺も予想外だったんだから。一体誰が、噴水に引っ張られると予想できただろうか。
濡れたまま教室に入った俺に先生がなんて言ったと思う？『先生はいつでも相談に乗るぞ……』ごめんなさい、いじめられてないです。そんな憂いの籠った目で見ないでください。
「そういえばアレはなんだったの？」
「アレって？」
「ほら、ピンク色のやつ。Aくんが先生に『保健室で着替えてこい』って言われたとき、司くんに何か投げつけてたでしょ？」
「あぁ、ただのぬいぐるみだよ」
流石に保健室にあのぬいぐるみを持っていくわけにもいかず。
仕方なく、本当に仕方なく。たまたま目に入った司の顔面に全力投球した。我ながらナイスピッチング。
「それにしては司くんの悲鳴が本気だったけど……」
「いやぁ、司は怖がりだから」
「誰が怖がりですか、誰が」
噂をすればなんとやら。不服そうな顔をした司がいつの間にか俺の隣に立っていた。
「おいおい、自分が情けないからって俺に八つ当たりかぁ？」
「顔面にMonsterを投げ込まれれば誰だって怒っていいと思いますけど？」
「モンスターって……んなこと言うなよ。女の子には優しくしないと！」
「あれって雌なんですか」
「知らん」
そんな恨みがましそうな目すんな。また投げるぞ。
「で、その問題のぬいぐるみはどこにあるの？」
ゆうたがまぁまぁと言いながら俺と司の仲裁に入る。ふっ、司め。命拾いしたな……！
「にゅう五郎は俺の鞄の中。欲しいの？」
「メスなのににゅう五郎って名前なんだ……。って、そうじゃない！いらないよ！──いや、アニキを討伐するために使えるかも？」
「ひなたって魔王だったりする？」
討伐はあんまりじゃないだろうか、と若干不憫に思ったそのとき、ピーッというホイッスルの音が響いた。先生からの「集まれ」という合図だ。
どうやらやっとA組が合流できたらしい。
先生は全員が集合したのを確認すると、パンと一度だけ手を鳴らして自分に皆の視線を集めてから、口を開いた。
──では、二人一組でストレッチしてください。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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