テニス部*2 ページ33
「もうっ、びっくりしたぁ。いきなり大きな声出さないでよ!」
「ごめんごめん。そんなに驚くとは……」
「それに、高貴なボクの名前を気安く呼ばないで欲しいんだけど〜?」
「えぇー……。別にいいじゃん、クラスメイトなんだし」
姫宮は不満げな顔をする。ぷくぅ、と頬を膨らませているのがとてもあざとい。
クラスメイトの名前をまだ全部覚えられていない俺だけど、コイツのことは知っている。いつぞやか司と話していたし、なにより俺より可愛い子いるじゃんって驚いたからだ。
「なに、そんなに見て……?ていうか、座りに来たんでしょ?ほら、まだ座れる面積はあるんだから座りなよ。仕方ないから、ボクと同じ椅子に座ることを許してあげる!」
「上からだなぁ。まぁありがと」
言われた通り、残り三人分くらい空いているスペースに仁兎先輩と一緒に腰掛ける。
左から、姫宮、俺、仁兎先輩というふうに座ってるから、二人に挟まれた状態だ。サンドイッチで言うと、俺が具材か。あ、サンドイッチ食べたいなぁ。
「ちょっ、ヨダレ出てるんだけど!?お腹空くようなそんな場面じゃなかったよね?」
「おっと失礼」
考えに没頭しすぎちゃうの悪い癖だなぁ。なんて思っていると、仁兎先輩がティッシュで口周り吹いてくれた。
「ありがとうございます!」
「……♪」
仕方ないなぁ、と言いたげに微笑む仁兎先輩。
一部始終を見ていた姫宮は溜息を吐いていた。そして何を思ったのか「そういえば」と切り出す。
「クラスの皆が話してるのを聞いたんだけど、おまえって『女の子』なの?」
「へ?何言ってんだよ。見てわかるだろ、俺は男だよ」
「いや、見ても分からないでしょ。一番可愛いのはボクだけど、おまえもそこそこ可愛らしい顔立ちしてるし」
そう言われても、なんとも返しづらいんだけど……。あと、その話をしていた奴らを教えて欲しいところだ。流刑に処す。
「まあ『女の子』が入学できる場所じゃないし、男の子なんだろうなとは思ってたけどね」
「そう、本当にそう。ここ男子校なんだから、普通はそういう思考になるよね?」
なのに他の連中ときたら、俺を女の子だと尽く決めつけてきやがって!姫宮自身が可愛いから、俺を女の子だと勘違いすることがなかったのかもしれない。
「勘弁して欲しいよ、切実に。女の子に間違うって失礼じゃない?」
「……!」
「あ、わかります?仁兎先輩」
何度も力強く頷いてくれる仁兎先輩。
あぁ、なるほど。この人も俺と同じようなタイプか……。道理で俺を見て驚かなかったわけだ。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると、嬉しい限りです!更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります! (2019年8月20日 14時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください!応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω`*)とっても嬉しいですし、励みになりました!りさこさんは優しい方ですね!今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です!とにかく最高でした!!これからも応援してます!! (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます!時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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