体育館倉庫*５ ページ24
「Aくんは勘違いしてるみたいだけど……。俺たちは、何もAくんの見た目だけで忠告してたわけじゃない」
ゆうたはそう言うと、ひなたに軽く目配せする。するとひなたはそっと俺の両手を離した。
「ごめんね。痛かった？大丈夫？」
「大丈夫だけど……。なんか、疲れた」
自由になった俺は、へろへろとその場に座り込む。俺の目線に合わせるようにゆうたもゆっくりしゃがみ込んだ。俺はのろのろと彼を見て、口を開く。
「俺の見た目だけで忠告してない、って話、どういうこと？」
「そのまんま。勿論『小柄だから心配だなぁ』とか『可愛い顔してるし、変な人寄せ付けそうだなぁ』とか、ちょっと思うけど。………あ、怒る？」
「……いいよ、続けて」
さっきの後だからか、言い返す言葉がない。というか元気がない。
「要するに、見た目どうこうの前に『人を頼らない』って部分が危ないってこと」
「ゆうたくんは、というか俺も、一人で解決しようとするAくんに怒ってたの。相手が俺たちみたいに一人じゃないかもしれないし、すっごく大男かもしれない。それなのに、一人でなんとかするなんて無茶でしょ」
言われて、想像してみる。
今まで痴漢とか、まあそういう類の嫌がらせは受けてきたけど、だいたい相手は一人だった。しかも中肉中背。そうじゃなくても、こっちが強気に出れば逃げてったし。
でも二人が言うように、アイドル──目立てば目立つほど、変な人も湧くわけで。
「しかもアニキ、あれで力加減はしっかりしてたっぽいし。それなのにアレだもんね」
「え！？」
あれでも痛かったのに！？
ひなたを見れば、少し困ったように笑われた。ゆうたは構わず続ける。
「……で。昨日、自分がどれだけ危ない立場だったか理解できたの？」
「……うん……」
「これに懲りたら、人に助けを求めようね？」
「…………善処する……」
「よろしい」
にっこり笑って俺の頭を撫る。まるで子供扱いだ。むかついたのでその手を振り払う。
「子供扱いやめろ」
「やだなぁ、小動物扱いだよ」
「ざけんな！おいっ、ひなたは爆笑してないでなんとかしろ！」
この二人、怒ってないときは悪ノリしかしないとかなんなの。ジト目で見つつ「でも」と呟く。
「その……ありがと。あと、ごめん」
「へ？」
二人が弾かれたように俺を見る。そして、どちらともなく何か言いかけた時──扉が開いた。
「いつまでも戻ってこないから来てみれば……何しているんですか」
そこには、箒片手に呆れた顔をした司の姿。
「きゅ、救世主……！！」
久々(といっても数十分)の太陽は目に眩しかった。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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