花園でミッション*4 ページ19
「え?」
「俺の恋愛対象は『女の子』ですから」
ぽかんと口を開けて固まる羽風先輩。お、いい感じ!ここが正念場だ!
「そういう意味では、あなたのことはタイプじゃないんです。なので、諦めてください」
畳み掛けて言い終えると同時に、先輩は手でTの字を作って「タイム。待って、本当に待って」と頭が痛そうな顔をした。
「ええっと……要するに、君は俺のことが好きか嫌いか以前に、男に興味がなくて……」
「そんなに難しく考えなくてもいいですよ。ただ、デートするなら普通に女の子がいいってだけで」
「普通って何!?」
わけが分からないと言いたげな先輩ににこりと微笑む。
「何って……俺は男なんだから当然でしょ」
「………は?え、お、おと……」
「だーかーら、男ですってば」
面白いくらい顔を青くする羽風先輩。さっきから行き場のない手がうろうろと宙をさまよっている。
ふっふっふ。散々俺を翻弄してくれやがったから、この様子はなんとも気分がいい。『そんな反応されたら、つい意地悪したくなっちゃう』と彼は言っていたけれど、なるほど、たしかにその通りだ。
未だに大層ショックを受けた顔で放心している彼の手を握り、ずいっと顔を近づける。
「うわっ。え、ちょ」
「俺にソッチの趣味はないですけど……先輩が『どうしても』って言うなら、デートしましょうか」
空いているもう片方の手で、意外と柔らかな彼の髪を戯れに撫でる。
「……っ、え、……」
さっきまでの威勢はどうしたのか、驚きに目を見開いている。後輩に、ましてや男にこんな扱いを受けたことに怒っているのか、顔がほんのり赤く染まっていた。やーい、いい気味!意趣返しってやつだ!
「ぷぷっ。ま、冗談ですけど!」
「は、じょ、じょうだん……?」
手を離してから彼の顔を覗き込み「あれ、本気にしちゃいました?」と笑ってやる。してやったり。
「これに懲りたら、無闇矢鱈にナンパしないことですね!そういうわけで、さいなら!!」
そう言い捨ててその場から駆け出した。
「勝った!一人でもなんとかできたぞ……!」
走りながらガッツポーズをキメる。あいつらもこれで何も言い返せまい。
早速この成果を報告してやろう!
スマホを見れば、時刻は二限目が終わるところだった。これなら三限目からは授業に出られそうだ。
___
羽風薫…(自称)特技は女の子の嗅ぎ分け。暫く固まった後「……ッいやいや有り得ないんだけど!!!」と我に返って恥ずかしさのあまりお顔真っ赤っか。お前がたんぽぽになるんだよ(ニッコニコ)!!!
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると、嬉しい限りです!更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります! (2019年8月20日 14時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください!応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω`*)とっても嬉しいですし、励みになりました!りさこさんは優しい方ですね!今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です!とにかく最高でした!!これからも応援してます!! (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます!時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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