*失われた記憶は知っている*

断片。 ページ30

｢アーヤ……

知ってるって、ここ 来たことが あるの?｣




黒木くんの問いに私は首を横にふる。

皆は余計に目を見開くばかり。







……記憶が戻った訳じゃない。

そもそも本当に失っているのかすらわからないから。








だけど、

ここにいちゃ だめだ。









必死に問いかけてくれる声がするから。

信じるから。




“お願い、皆 身勝手な私を どうか 信じて”






そう伝える私に、皆は真剣なおもつきで


あっさり 受け入れてくれた。








｢俺らが アーヤの事 信じねぇ訳ねぇだろ?｣




｢分からないことが多いけどな、｣








思わず涙がでそうになったのをこらえて

私は ありがとう そういった。








"ねぇ、ここ見て"

"……穴?"

"しかも調度俺らが入れるくらいの…"




"それにほら、風邪が通ってる"

"っ！本当だ！"

"外に、繋がってる?"




""いこう！""









いこう。

そしたらきっと、

謎が とけるかもしれない。



なんてのは、甘い考え?









｢……そこの、機材を退かした奥。

大人は入れないけど、子供が入れる穴。


ギリギリ私たちも入れるんじゃないかな。｣









私がそういうと、はっとしたように機材を退かしはじめる黒木くんと翼。






そしてあらわになったのは、









この記憶の断片。

すべき事。→←きっと。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す