*失われた記憶は知っている*

香水。 ページ14

とっさに身構える私たち。




…ガラッと、
扉が開いた。







｢そこのお前、ちょっと来い。｣








そうさされたのは、私だった。
皆が、横から口を出す。





｢おい！何でアーヤなんだ！?｣


｢行くなよ、立花、｣





若武と、上杉くんがそういうと ちっ、と舌打ちをするその人。

結構な高身長で、
マスクをつけている。




見るだけで、怖いと思わせるその人。







｢いいから来い。
お前らは、邪魔だ。｣







そういって私の側に来て私の縄だけが解かれる。

すっと、解放された手。



少し痛みを感じる。








｢来い。｣








ぐっと腕を捕まれて無理矢理立たされる。

ふらっと、体がよろめく。






｢アーヤ！｣







後ろから皆の声が届く。

その人は、私の腕を引っ張り歩く。






ツン、と掠める香水の匂い。








………………この香水……








まだ抜けきっていない睡眠薬が回ったのか、されるがままで私は連れていかれた。

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