ペンダントの魔法【stpr】［6］

episode57 ページ37

Aside





この、声…は







『立ちなさい』







「っ…」







優しい、温かい…”お母さん”…？








『戦いなさい』







もう、無理だよ






身体が悲鳴を上げてる






挫いた足首は痛くて、腕、足、頭、顔。至る所にできた傷が痛むの








立てない、立ちたくても…立てない







『諦める事は許さない。…A』








「っ…」







この声のおかげでまだ、なんとか意識は保たれた







体に力は入らない。けど、目は開けてられる






『…あなたならできる』





「…！！」








『守ると決めたなら守りなさい。…中途半端なんて、お父さん…怒っちゃうかもね』








っ…守りたいっ…そうだ。私は二度と後悔しないようにずっと、頑張ってきたんだ







3年前、お母さんがここで焼け死んでから。ずっと







みんなも…同じようにはさせない。そう、強く思ってた








「ｯ…ぁ…い゛ッ…」







立って、私







『…あなた一人じゃない。仲間がいるよ。あなたのかけがいのない仲間』








みんなの顔を思い出すだけで涙が溢れそう








「っ…はっ…みんなｯ…」







意識がはっきりしてく。……まだ、やれるんだ








『……ずっと、ずぅーっと…見守ってるよ。…頑張って。仲間もいるし、お母さんも居るからね』









「っ…！！ありがとう…っ…頑張る、絶対…だから、見ててね」








大丈夫。私はやれる







ここで死んでられない。痛みに耐えて







そう、言い聞かせてれば絶対に大丈夫








大丈夫、大丈夫…







「っ…行こうっ…」








痛くて、額に汗が滲む







でも、周りを見れば痛いとか言ってる状況じゃない








私の体力的にも異能力が使えるのは、次が最後の一撃だ








立てばみんなとあいつが見える







……あんなに傷だらけでも、あいつに押し切られずに、負けじと攻撃してるみんな。








…傷が凄く痛々しくて、時々顔を歪めてる。みんなもそろそろ限界











…頑張ってくれてありがとう。無理させてごめんなさい







“みんなは私にとってかけがいのない仲間で、家族みたいな存在”






ありがとう。本当にありがとう。







待っててね






「…今、いくから」






私は、絶対に守るという思いとあいつを倒すという想いを抱えて駆け出した



















『…頑張れ』

質問コーナー回答編！→←episode56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す