第三十八話[最期の台詞] ページ44
「拳銃貸して」
乱歩さんは一言、杉本さんに云った
然し彼は巡査であり、乱歩さんは探偵
一般人に等しい乱歩さんに拳銃を渡すなど
あってはならない行為だ
「ば 莫迦云わないで下さい
一般人に官給の拳銃渡したりしたら
減棒じゃ済みませんよ!」
当然ながら彼も同じことを云っていた
「ふん、探偵社って奴は
口先だけの阿呆なのか?」
本当になんなんだろう。まじで此奴ムカつく
『乱歩さんが莫迦だったら
私達は屑も同然だろうね』
「なんだと!?」
別にちょっとさっきのでやらかしたから
お返しに褒めたつもりだったンだけど...
「言ってくれるじゃないかA!」
うん、
確かに乱歩さんが良いなら全ていいと思います
「まぁいい、もう散々だ
___見せてやれ,杉本」
しかし彼は見せなかった
「彼は今考えているところだよ」
『云い訳考え中?』
「......」
ますます彼は黙っていく
「『減った3発分の銃弾について
どう説明するのかをね/でしょ?』」
「「「ッ!」」」
全員が凍りつく
彼らには私達が重なって見えただろう
実際に後で太宰は
「Aちゃんが乱歩さんに見えたよ」
って云ってたらしいが、
今の私にはそんなこと知る筈も無く
不意に杉本さんが腰にある銃に手をかけた
恐らく
「『行け敦くん!/敦!』」
ほぼ同時に私達は叫び
仕舞いには太宰が敦を押し飛ばしていた
敦は戸惑いながらも難なく拘束する
「『(やるじゃん)』」
署に警官自身が連行され、
乱歩さんは最後に杉本巡査に呟いた
「ねぇ杉本君
彼女の"最期の台詞"中ててみせようか
"「ごめんなさい」"」
「!.......本当に
凡てお見通しなのですね.......」
『(やっぱり乱歩さんは本物の名探偵だ)』
杉本(元)巡査は泣き崩れた
そしてさっき私が気づいた"時計"
山際さんが付けていた時計が
あまりに独り身の女性の付けるものでは無かったことが繋がった
ラッキーカラー
あずきいろ
73人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼花 | 作成日時:2019年5月23日 18時