18話 ページ20
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ミーティングが終わり、ネットを片付けていると、及川に手招かれた。
及「齋藤ちゃん、昨日はごめんね…」
『いや、おれがボーッとしてたから』
俺がそう言うと、及川は少しホッと息を吐いた。
じゃあ片付けを、と振り返ると、パシリと腕を掴まれた。
及川の手はじんわりと汗ばんでいて、どんだけ緊張しているのかが分かる。
俺だって鈍感じゃない。
ミーティングの時の俺の顔を見て、及川と岩泉が目配せしていたのも知っている。
心配かけているのだと、情けなく思う。
『…ん?どうした?』
けどここは、知らないふりで通そう。
及「あの…さ、明日の練習試合、相手の中学校って齋藤ちゃんの出身だよね…?」
目を泳がせながら聞く及川。
確かに、凪山中は俺の出身だ。
もともと3年は俺しか居なくて、俺がいなくなったら廃部とまで言われていた。
けど、俺が居なくなってから強力な一年が入部して、廃部を免れたそうだ。
宮城の中学校ではもう相手にならないから、こうやって高校と練習試合をしていると聞いている。
けど流石に、青葉城西に挑むのは無謀じゃないかな、なんて。
旧チームメイトのセッターは、凪山中で時々指導をしているらしい。
昔から、あいつはバレーがうまかった。
『そうだよ、俺の出身校。それがどうした?』
ちょっと語気が強かったかもしれない。
及川は、なんでもない、と行ってそそくさと去っていった。
俺は今、どんな顔をしているのだろうか。
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作者名:Lie麦マFin | 作成日時:2019年6月8日 16時