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10話 ページ12






岩「寝ろっつったろ ボケェ!!」


 『悪かったってば!怒んなよ!』



朝起きたら目の下にくっきり付いていた クマ。


ついでに言えば、寝てる間に泣いたのか 赤くもなっていたけれど、それは母親のファンデで隠した。


ただ、クマだけはどうしようもなくて、この状況だ。



及「なに?勉強でもしてたの?」


 『…まぁ、そんなとこ』



俺が曖昧に笑うと、チームメイトたちは眉をひそめた。


俺の嘘には気付いているが、踏み込んでは来ない優しさ。


今は、それがありがたい。



 『…ほら、金田一 国見!レシーブ練するぞ!』


国「だる…」


金「はいッス!」



俺は逃げるようにして、部室を出た。



////

及川サイド



斉藤ちゃんが何かを隠しているのは知っている。


そしてそれが、中学時代のことだというのも知っている。


ただ、その過去の核心的部分だけが、分からない。


一体なにが、斉藤ちゃんの記憶にこびりついているのだろうか。



 『ほら、金田一 国見!レシーブ練するぞ!』



そう言って焦るように部室を出た斉藤ちゃんを見送って、3年ズと目を合わせる。



岩「アイツは、俺たちに腹のうちを見せねぇな」


花「そうだな。いっつも、自分のことは後回しで…」



まっきーがため息をついた。


いつになったら、俺たちは斉藤ちゃんの名前を呼べるのだろうか。



__『凪山中 出身、斉藤Aです!苗字で呼んでください!』




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作者名:Lie麦マFin | 作成日時:2019年6月8日 16時

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