総統室のパティシエ【3】

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｢おおお〜〜！！｣

お皿を並べると、目をキラキラさせる皆さん
おかしいな、用意したの普通のご飯なんだけど

｢家庭的なAちゃん女子力高いめう〜美味しそ｣

今日もばっちり可愛いオスマンさんに言われるとなんか、素直に受け取れないな…

用意したのはサラダ、野菜たっぷりのポトフ、スクランブルエッグ、トースト、デザートにカップケーキだ
もう少し品数を増やしたかったけど人数が人数なのでこの量が限界だった。

｢それでは頂こう！！｣

いつもよりテンションの高いグルッペンさんの合図で食事が始まる
口々に美味い、最高、幸せ、と言ってくれる皆さんの笑顔を見て、私も頬が緩んだ

｢ああ〜ほんっま美味しかった！！ありがとうAちゃん！よかったら僕専属のコックさんってことでお嫁さんならへん？」
｢おい大先生、Aは俺専属のパティシエやぞ｣
｢だからグルさん専属ちゃうって何回も言うとるやろ｣
｢Aさんご馳走様でした。よかったら、また食べたいです｣
『ありがとうございますショッピさん』

また、は来るのだろうか
ゾムさんにはさっきああ言ったものの、漠然とした不安は拭えない

｢Aちゃんありがとね、ほんとに美味しかった｣
『ひとらんさんの野菜、とっても美味しかったです』
｢ありがと、俺にもまた作って｣

“また”
何気ない言葉が今は酷く重く感じる
笑顔で返事をしようとするのに、上手く言葉が見つからない

｢A！！俺にもまた作ってくれや！！｣
『わっ…！』

いきなり抱きつかれ大きな体に視界を遮られる
染み付いた煙草の香りが私を包んだ

｢ちょっとコネシマ、俺が話してるんだけど｣
｢クソ先輩殺します｣
｢おいシッマ離れろや、煙草のにおいAにつくやろが｣

3人から強い殺気を向けられてもコネシマさんは離れない
少しゴツゴツした手でグリグリ撫でられた

｢そんな深く考えんでも俺らが何とかしたるって｣
『えっ…』

耳の上から囁かれた、彼にしては低く小さな声
私を皆さんの視界から隠したまま、コネシマさんは少し屈んで私と目を合わせた

｢な！“また”作ってや！！｣
『…はい、！』

その返事を聞いて｢よし！！｣と太陽のような笑みを浮かべたコネシマさんは、ショッピさんとゾムさんによって引き剥がされた

｢大丈夫？Aちゃん｣
『はい、“また”ひとらんの野菜で、ご飯作りますね！』
｢うん、楽しみにしてる｣


コネシマさんがたまに見せるお兄ちゃんのような1面は、いつも私を助けてくれる

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