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『ゾムさん、手伝ってくれてありがとうございました』
改まって頭を下げるA
勝手にやったことに礼を言うのは、彼女の美徳であり、気を遣い過ぎる欠点とも言える
ほんま、俺が2人きりになりたかっただけやねんけど
｢ええねんて。それよりはよ運ばな、あいつら腹空かして待ってんちゃう？｣
『まだコネシマさんとか大先生起きてないんじゃないですか？』
｢A甘いな。あいつら絶対今日ははよ起きとるで｣
だって俺もそうやからな。
とは口に出さず鍋をカートに乗せる
全員分の飯という重さの鍋を、A1人で運べるとは思えんかった。俺がおらんかったらどうしてたんやろ
『…明日の朝も、明後日の朝も、こんな感じだと、いいですね』
食器類を積み込みながら、小さく呟くA
多分彼女は、皆早起きで朝ごはんを食べれたらいいですねっていう意味で捉えて欲しかったんやと思う。本当の意味には触れて欲しくないんやと思う。でも、その声が弱々しくて、寂しそうで、俺は思わず口走った
｢ずっとこうなるように、俺が守るから｣
『…ゾムさん、』
｢あいつらと馬鹿やって、たまにはこうやって飯作るとか、遊びに行くとか、今まで通りになるように。お前が“こんな感じ”の朝を迎えれるようにしたるから｣
そんな顔すんな
その言葉は彼女の手によって止められた
俺の手をギュッと握ったAは、困ったように眉を下げて言う
『ゾムさん、私は、皆さんが無事ならそれでいいです。もう、守られてばっかりじゃいられないんです』
違う、俺らはお前に傷ついて欲しくない、俺はお前を傷つけるやつを消すために、俺の力を使いたいんや
言いたいことはあるのに、口に出すことはできない
明日の取引で俺ができることはなんもなくて、遠くから見てるだけ
『…戦争では、私はなんの役にも立ちませんし、お姉ちゃんの為に皆さんに迷惑をおかけしているのもわかってます。でも、皆さん優しいから…』
｢ちゃうでA、俺らは迷惑なんて、｣
『そう、優しいからそう言ってくれる。だから私も、皆さんを守りたいと思う。』
この話は終わり、という雰囲気でAがカートを押して運び出す
俺は何か、安心させたいのに、どうしたらいいかわからんくて、
『…明日、』
｢えっ？｣
『明日、何かあっても、ゾムさんが飛んできてくれるんでしょう？』
｢…！当たり前やん！！｣
『なら、安心ですね』
そう言って微笑むAは、俺よりもずっと強かった
結局あの事は、彼女に伝えられないまま
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まち(プロフ) - 初めまして、1話したのかと目から読ませていただき、完結までお疲れ様でした。とても素敵な作品に出逢えたこと、心から嬉しく思います。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月30日 3時) (
レス) id: 9b1209b0b8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - こんにちは！あまりの面白さに思わず一気読みしてしまうほどでした!!!!!!!こんなに幸せで素敵なお話を読めてとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
カラ - とても面白かったです。久しぶりに夢中になって読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2020年2月5日 20時) (レス) id: 4407d2bed4 (このIDを非表示/違反報告)
1 - あれ？HappyENDって、こんなに泣けるもんだったっけ？ って、半泣きで最後まで読ませて頂きました。とても良い作品でした。 (2020年1月11日 17時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
レック(プロフ) - すみれいんさん» 度々感想の方お聞かせ頂きありがとうございます！何度も楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。先の展開を知らないと気付かない伏線もたくさんはっておりますので、是非また、新しい笑顔をお見せいただけたらなぁと思います。 (2020年1月9日 9時) (レス) id: a402dc079e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レック | 作成日時：2019年9月13日 0時
