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……SIDE IS リヴァイ……
Aの話を聞きながら、オレはこれまでのことを思い出していた。
初めてAと出会った時、その瞳に見た孤独･･･
今もふとした瞬間に見えるその孤独は、マーレという国の中で刻まれ続けてきた傷の跡だったのか。
調査兵団の兵士長の立場から考えるなら、コイツの話をまずは疑うべきだろう。
例えばその国から来たスパイであるとか･･･
だが･･･
スパイが自分がスパイだと勘ぐられるような話を自らするだろうか。
もしくはそう思わせて油断を促す策か･･･
いや･･･コイツをスパイだと決めてしまうことは簡単だ。
理由はあれこれつけられる。
しかしオレの中には、そう安易に結論づけることのできない事実がある。
今日までこの目で見てきたA･･･
オレの心をつかんで離さないコイツの強さと美しさだ。
それが偽りから来るものとは、どうしたって思えねぇ。
『ここで起きる、全ての出来事を受け入れる覚悟を持ってきた』
Aは調査兵団へ戻った時、エルヴィンの前でそう言った。
あの時の澄み切ったまなざし･･･オレには少しの曇りも見えなかった。
エルヴィンにしても、アイツの目は節穴じゃねぇ。
アイツが結婚の約束をするほどの人間マルレーン、その妹がAだ。
自分の婚約者は当然のことながら、常に身近にいたAに対しても、エルヴィンはかなりの信頼をおいていたはずだ。
そこに不信感があれば、その姉と婚約など絶対にしない。
エルヴィンがAを退団させるよう運ばせたのは、愛する人間を失った大き過ぎる喪失感からだろう。
オレはその頃のエルヴィンを知らねぇが、愛する者を失う痛みは今のオレならわかる。
その悲しみと喪失感は、ナイフよりも鋭い刃先で“簡単には癒えぬ傷をつける”という目的のみを持ち、その目的に純粋に従い胸を刺す。
Aも愛する家族を失い、痛みと悲しみに引き裂かれながら兵団を去り、失った自分の生き方を見つめながらあの馬屋で3年の月日を過ごしていたのだろう。
Aの話と、オレがここで過ごした時間の中で見てきたコイツとの間には、何の相違もない。
Aを疑う確固たる理由を探すことのほうが、オレには難しく思える。
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作者名：ico | 作成日時：2018年1月21日 8時
