検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:61,648 hit

ページ4

*



「お姉ちゃんも、エルヴィンを好きになって・・・あんなに幸せそうなお姉ちゃんを、あたしは生まれて初めて見た・・・」


病気に苦しむ日々。

迫害に耐える日々。

いつ誰が自分を消しに来てもおかしくない恐怖を感じていたマーレでの日々。

そんな毎日の中に、心からの安寧(あんねい)や喜びはなかった。




『誰かを愛し、誰かに愛され、誰かと愛し合う』




初めて感じた幸せがお姉ちゃんを包み込んでいること・・・それが、あたしは本当に嬉しかった。



この島へ来てよかったと、心から思った。




リ「だから言えなくなったのか、エルヴィンに」

「言えなかった。あたしたちがマーレから来たことを話せば、2人の幸せを壊してしまうと思った。お姉ちゃんは純粋にエルヴィンとの幸せだけを願ってた。でも・・・・・」



あたしは甘かった。

移植手術が成功すると、盲信(もうしん)してた。



リ「婚約者の死で、エルヴィンはお前との繋がりを絶とうとした」

「あたし自身の心も折れた・・・。エルヴィンが悲しむ姿を見るのも、あたしを拒もうとするのにも、耐えられなかった」



今もあたしの瞼には、エルヴィンの震えた背中が焼きついている。



リ「退団した真の理由はそれか」


あたしは頷きながら答えた。


「お姉ちゃんも居なくなって、託せる人からも遠ざかって、希望がなくなった。あたしは空っぽのまま、あの馬屋で過ごしてた。気づくと3年も経ってた」





あの時、もっと強い心を持っていたら・・・


そしたら・・・リヴァイにもっと早く出会えたのに・・・





リ「本当に空っぽだったのか」


「え?」


リ「マーレに対する怒りがなかったわけじゃないだろ。家族を殺されたんだろ。しかも病死と見せかけたひでぇやり方だ」


「憎しみを(あお)るのはやめて。憎しみは、捨てると決めたの。マーレの狙いは、世界中の人々に、民衆の心に、憎しみを植えつけること。だから・・・憎しみを捨てることがあたしのマーレに抵抗するすべ・・・」


リ「3年かけて、その誓いを守ったわけか」


「・・・そうだね・・・、あたしは“お姉ちゃんの死によって生まれた憎しみ”を捨てるのに3年という時間を使ってしまった」





でも、リヴァイがあたしを見つけてくれた。

だから、今あたしはここで希望を見てる。





今度こそ託すよ。





エルヴィンじゃなく、リヴァイ、あなたに。





*

5→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
100人がお気に入り
設定タグ:進撃の巨人 , リヴァイ , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ico | 作成日時:2018年1月21日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。