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何だろう・・・

エルヴィンが子どもの頃から見ていた夢って・・・



エルヴィンの視線は机の上を彷徨(さまよ)いながら、過ぎ去ったお姉ちゃんとの日々を思い返しているようだった。



エ「私は壁の外側にあるもの・・・それを考えることが好きだった。そして壁の外に人間がいないことを誰がどうやって確かめたのか、それを知りたかった」



そう話すエルヴィンの瞳が、急にキラキラと光を集めて輝き出したように見えた。



エ「異国があり、異人たちが住む場所がある・・・あの壁の向こうに・・・。そしてマルレーンはその異国から来た・・・、そんな夢を、私は時々彼女という存在の中に見ていた」




そうか・・・

お姉ちゃんは言葉ではなく、エルヴィンの五感に働きかけるように自分のルーツを体現していたのかもしれない。


エルヴィンの瞳が、そんな自分を見つめて輝くのを、幸せそうに見ているお姉ちゃんの姿が浮かぶ。




エ「彼女がいつかそんな告白をしてきたなら、私は何もかも受け止めよう、そんな事まで考えていた。・・・馬鹿みたいだろう」



少し自嘲(じちょう)的な笑みを浮かべてそう言ったあと、エルヴィンはいつもの表情に戻ってあたしを見た。



エ「・・・だが私がマルレーンと婚約したこととそれは関係ない。私には彼女の笑顔だけが必要だった」




エルヴィン・・・



お姉ちゃんは、本当に本当に、愛されていたんだ・・・




「良かった・・・」



あたしは、ふわりと温かくなった胸に手を当てた。



エ「A。我々の絆の中に、お前が嘘偽りを語る理由は見当たらない。そして・・・リヴァイの分析力も客観性も、私の期待を裏切ったことはない」

「エルヴィン・・・」

エ「リヴァイ。目を通せ」



言いながら、エルヴィンはリヴァイのほうへ書類を差し出した。



リ「相変わらずの状況判断の速さに、頭が下がる」



リヴァイは素早く書類を受け取った。



リ「ジャン、マルコ、コニー、サシャ、クリスタ」



そこに書かれた名前を、リヴァイが読み上げる。



リ「・・・どうだ、A」



鋭い眼光を宿して、リヴァイはあたしを見た。





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作者名:ico | 作成日時:2018年1月21日 8時

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