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『より優秀な者を王都に配置する必要があるからな』



エルヴィンの言葉に、あたしはハッとした。



もし、壁外からの侵入者たちが始祖の巨人を求めて王都へ近づこうとしているとしたら・・・

訓練兵の中で成績10位以内を目指し、憲兵団の一員となって王都へ潜り込むのが一番自然で、一番スパイの疑いもかけられにくい。



でも、まさか・・・



あたしはエルヴィンの書いた成績上位5名の名前をもう一度見た。



全員、あたしの身近にいる。



聞き覚えのある声、だとしたら、この中にいてもおかしくない。

ただ、認めたくない現実にあたしはまた直面する・・・そんな予感に心がうずいた。




ハ「まぁでも、ミカサが主席なのは、もう周知の事実だろうね」

エ「確かに、(まれ)にみる逸材だな」

ハ「憲兵団のほうからお声がかかるなんてことも、あるかもね」

「ミカサは、きっとエレンと同じ団へ行くと思うよ」

ハ「え〜?何でそんなこと分かるの、A」

「104期の女子メンバーと同じ部屋だった時に、そう言ってた」




ミカサは・・・、あたしと同じ。




帰る場所をなくして、運命に強さを求められた者。




同じ部屋で眠っていた頃に、一度だけお互いのことを話したことがあった。

彼女は、あたしにもう家族がいないと知って、自分も同じだと言った。

その時に聞いた、エレンへの思い・・・




『あたしにはエレンしか残されてない』




ミカサの帰る場所は、エレンだ。

エレンのそばで、必死にエレンの暴挙をたしなめているのは、もう孤独を塗り重ねたくないから・・・




大切な人を失う・・・それはどんな強い人でもひるんでしまう出来事。

当たり前と言えば当たり前だ。

みな、無意識に『大切な人』を心の支柱にして毎日を生きているのだから・・・




あたしがリヴァイに希望を見ているように、ミカサも、きっとエレンの存在に安息に似た何かを委ねているのだろう。




リ「あのガキにそこまで入れ込んでやがるのか。せいぜい主席の才能をガキにつぶされねぇように見張ってるんだな。あのガキは危なっかしい」

ハ「それは一理あるかもね」

リ「めずらしく同意するじゃねぇか」

ハ「キミと口論してAを困らせたくないだけだよ。リヴァイ、キミのライバルは男だけじゃない」

リ「真顔で言うな。お前にだけは負ける気がしねぇな。コイツはオレに惚れてる。あきらめろ」

「・・・ぁ」


リヴァイがあたしの頭をグイ、と自分の方へ寄せた。



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作者名:ico | 作成日時:2018年1月21日 8時

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