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あたしはまだコーヒーの入っているカップを手に、キッチンへ立った。




あのままテーブルに着いて、なごやかな話にもっていける自信がなかった。





見るんじゃなかった・・・



フォルカーさんの家族が並んで写っている写真には、『My family forever』と書かれた手書きの文字と、血痕がついていた。



フォルカーさんの言葉の意味が、それでわかった。






『見てやってくれ、今は亡きわしの家族を・・・』





そう言いたかったんだ。





家族を失うつらさは、あたしにもわかる。

そして家族と呼べる人が、もう自分には1人もいない寂しさも・・・





しばらく1人になり、気持ちを落ち着かせていると、


カチャ・・・

キッチンの扉が開く音がした。



フ「Aさん」


振り向くと、フォルカーさんがキッチンの入り口にいた。



フ「気にすることはない。この年になれば、たいていの事に動じなくなる」

「・・・巨人ですか?」



フォルカーさんは静かにうなづいた。



「・・・・・・・あたしも、同じだから・・・・。家族がもう、いないから・・・」

フ「そうだったか・・・、じゃったら、彼も同じかもしれん」

「え?」

フ「あんたと、同じ目をしとるよ。目の奥の色が、おんなじじゃ・・・」





リヴァイも、同じ・・・?

家族がいないってこと?







ゴホッ!





ドクン・・・!

胸が、きゅぅっとしぼられる様な感覚がした。







まずい・・・!







「・・・・ふぅ・・・・」



あたしの身体が異変を示し、呼吸が乱れだした。







しまった!少し冷えたか・・・



どうしよう・・・ここではまずい・・・








リヴァイにバレたら・・・・きっと兵団に戻れない・・・・・!







肩で息をするあたしに気づいたフォルカーさんが、あたしに近づく。



フ「どうした・・・大丈夫かの?」

「大丈夫・・・・、です・・」



ダメだ・・・・おさまりそうにない・・・



「ひゅぅ・・・・ひゅぅ・・・・」






息がうまくできなくなってきた・・・苦しい・・・






キッチンにうずくまるように座り込んだあたしの背中に、フォルカーさんが手を添えてくれる。



フ「Aさん・・・もしかして、喘息をもっておるのか・・・?」


この状態でごまかす事はできないと判断して、あたしはコクコクと首を縦に振った。




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(プロフ) - 頑張ってください〜 (2017年10月8日 19時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
いこ先生(プロフ) - 萌さん» 萌さん♪♪ ありがとうございます!めっちゃ頑張ります〜(>▽<)/ (2017年10月7日 8時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!頑張ってください! (2017年10月7日 0時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ico | 作成日時:2017年10月6日 23時

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