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ゲ「夕方にな・・・、調査兵団のお偉いさんが来たんだ。真っ黒な髪をしたこのくらいの背の」
ゲレオンさんが片手をあげて『このくらい』と現す。
真っ黒な髪・・・・リヴァイ?
ゲ「その人から聞いたよ。わしに異論はない」
あっさりと、ゲレオンさんはつぶやいた。
ゲ「好きにやってくるといい。Aがどこにいても、Aが選ぶことの全てを見守るのがわしの仕事だ・・・夢でもあるけどな」
「ゲレオンさん・・・」
ゲ「見守らにゃあ、心配で仕方のない娘ができてしもたんでなぁ!」
そう明るく言って、ガハハと笑った。
あたしがここへ来たときと同じように・・・
『娘』・・・・・・
いつの間にかこんなに大きなぬくもりに、あたしは毎日そうと気づかずに包まれていた・・・
目の奥が、じんわりと熱くなる。
でも、涙を見せたら、ゲレオンさんがくれた笑顔を曇らせてしまう。
そんな気がした。
あたしは息を止めて、涙を目の奥へ押しこめ、深呼吸をしてから深々と頭を下げた。
「お世話になりました」
ゆっくりと頭を上げ、ハッとする。
やわらかく微笑むゲレオンさんの目に、小さいけれどゆらめく波が見えた。
ゲ「身体だけは、大事にしてくれよ」
「・・・・・ゲレオンさん・・・ありがとう。あたし・・・手紙書くね」
*
調教師の朝は、3時や4時起きが普通だ。だから夜は早くに就寝する。
でも今夜は、できるだけ起きていたかった。
皆で事務室へ集まって、いろんな話をした。
ユッタのきれいで長い栗色の髪を、教えながら何度も結わえた。
ゲレオンさんに、美味しい茶葉が手に入るお店を教えた。
料理の話もいっぱいして、ユッタと一緒にノートにレシピを書きなぐった。
イザークが書いた料理の絵がへたくそで、みんなで笑った。
ユッタの笑顔を、イザークの笑顔を、ゲレオンさんの笑顔を、
あたしは胸に焼き付けた。
皆が寝静まってから、あたしは馬たちの並ぶ舎屋へ行った。
しんとした静寂の中、馬たちの動く音や鼻息が聞こえる。
ここへ戻る日はあるだろうか・・・
もし、壁外調査へ行って、万一あたしが死ぬことがあれば、この子たちとは二度と触れ合うことは出来ない。
それまでにイザークたちには手紙が書けても、この子達には・・・
あたしは、1頭1頭の馬をなでて回った。
立派になって、兵団においで・・・そう心で話しかけながら・・・
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萌(プロフ) - 頑張ってください〜 (2017年10月8日 19時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
いこ先生(プロフ) - 萌さん» 萌さん♪♪ ありがとうございます!めっちゃ頑張ります〜(>▽<)/ (2017年10月7日 8時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - 面白いです!頑張ってください! (2017年10月7日 0時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2017年10月6日 23時