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*
「イザーク」
イ「ん?」
「あのさ・・・」
イザークは、もう仕事の書類に目を移している。
あたしは何から言おうか迷って、言葉が出てこなかった。
イ「なんでも言えよ。遠慮しねぇで」
書類に目を落としたままそう言うイザークの、整った横顔を見つめる。
なんで、あたしなんか・・・
相手があたしじゃなかったら、きっと幸せになれたはずなのに。
なんて言えばいいの・・・
イ「・・・ん?」
いつまでも黙っているあたしに、イザークはいつものようなやさしい目を向けた。
このやさしさに応えるためには、やっぱりちゃんと伝えなきゃいけない。
兵団へ、戻ること・・・・
「あたし・・・やってみたいことがあるの」
イザークは、あたしの目をじっと見つめたあと、1人で納得するように何度かうなづいた。
そして大きなため息を短く吐いてから言った。
イ「そういう日がさ、いつ来てもおかしくないっておれは思ってた。お前の能力、ハンパねぇもん。やっぱ、こんなとこでくすぶらせておくもんじゃねぇな」
え・・・?
イ「お前をここに閉じ込めるなんてできっこねぇよな。・・・おれ馬鹿だな」
自嘲しながら言うイザークに、あたしは首を横に振った。
「こんなとこなんて・・・そんな風に思ったこと一度もないよ。イザークのことも、馬鹿だなんて思ったことなんかない」
イザークはどこまでもやさしい。
この人を傷つけずにいたい・・・
だけど・・・
イ「お前がここに来たのは、自分の意思じゃない。それはわかってたよ。・・・なぁ、Aが一番輝けるとこってどこなんだ。それを見つけたってことだろ?」
うつむくあたしに、イザークは励ますように聞いた。
本当に、いつもあたしの心を理解しようとする目線・・・
「・・・・・・・調査・・・兵団」
イ「え?・・・・・戻れるのか?!」
「そうみたい・・・・」
イ「そう・・・か。・・・・あっ…、今日来た奴・・・アッカーマン・・・あいつは兵団の使いだったのか」
イザークは独り言のようにつぶやいた。
そして、またやさしい目をして、あたしに向かって言う。
イ「いつ・・・・行くんだ?」
「・・・・・・・・明日・・・・」
イ「マジかよ・・・・」
あたしは、ゆっくりうなづいた。
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萌(プロフ) - 頑張ってください〜 (2017年10月8日 19時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
いこ先生(プロフ) - 萌さん» 萌さん♪♪ ありがとうございます!めっちゃ頑張ります〜(>▽<)/ (2017年10月7日 8時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - 面白いです!頑張ってください! (2017年10月7日 0時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2017年10月6日 23時