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*
イ「あぁ、A・・・・。ペンは見つかったか?」
「うん、お陰さまで。心配させてごめん」
ずっと、ポケットに入れていたペンを取り出して見せる。
イ「お姉さんの忘れ形見なんだろ、それ」
「うん。なんか、今日久しぶりに思い出しちゃったよ」
いつもそうしているように、イザークの隣のイスに座って話す。
「ごめんね、日報。疲れちゃうよね」
イ「全然。気にすんな。てか、今日頭打ったって言ってたの、どの辺?」
「んー、この辺?かな」
耳のうしろあたりに手を当ててみる。
不思議とあんまり痛みは残っておらず、どこと聞かれると困ってしまった。
イ「どれ・・・」
イザークの手があたしの頭を少しうつむかせて、ケガをしたところをやさしく探る。
今日はこの優しさ、ツライな・・・
イ「たんこぶはできてないみたいだな」
「たんこぶ・・・・・なんか懐かしい響き」
お姉ちゃんにも、あたしがどこかに頭をぶつけたとき、こんな風にしてもらったな・・・
懐かしさに笑顔になったまま顔をあげると、イザークの顔がすぐ間近にあった。
わ・・・!ち、ちかっ!///
イザークは、あたしの頭に置いていた手を、ゆっくりとほほに移動させた。
イ「なぁ・・・A。おれら、家族みたいなもんだよな」
「う・・・・うん」
イ「あのさ・・・・・。お互い、肉親はもういねぇし・・・・・・、ここでずっと暮らしてくんなら・・・」
え・・・?
なんか・・・・・
イザーク・・・・・・・?
だめだよ・・・
なんか・・・・なんかだめだよ・・
言わないで・・・・・・・・今日だけは・・・
イ「一緒にならねぇか」
イザークは、顔を真っ赤にして、でもまっすぐにあたしを見て言った。
心の奥が、何本もの見えない弓矢で貫かれたように痛んだ。
「・・・もう、一緒に・・・・いるじゃん・・・・・」
苦しまぎれの答え。
うまく笑えてもいない・・・・
イザーク・・・ごめん・・・・
イ「・・・・・だな!・・・・・そんな顔すんなよ」
イザークは、力の抜けたようなため息と一緒にそう言って、近づいていた顔を離した。
イ「ホンモノの家族になりたくなったら言えよ、待っててやるよ」
あたしの心を見透かしたようにそう言うイザークに、また胸が痛む。
いいの?
あたし・・・・こんなに優しい人にちゃんと言わなくて・・・
いいの・・・・?
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萌(プロフ) - 頑張ってください〜 (2017年10月8日 19時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
いこ先生(プロフ) - 萌さん» 萌さん♪♪ ありがとうございます!めっちゃ頑張ります〜(>▽<)/ (2017年10月7日 8時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - 面白いです!頑張ってください! (2017年10月7日 0時) (レス) id: 8d86d6f3b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2017年10月6日 23時