足りない言葉は風にきけ１【リヴァイ】 (ページ12)

今日:13 hit、昨日:17 hit、合計:223,860 hit

１２ページ12

*

西日がさしていた小屋近くの丘は、もう夕闇が訪れかけていた。

薄暗くなり始めた景色の中に、小さな人影を見つける。

アッカーマンはベンチに座り、何かを考え込んでいる様子だった。

あたしの足音で気配を感じ取った彼の目が、こちらをとらえる。

リ「嘘をつくのがうまいな」

「･･･ペンのこと？やっぱり察しがいいのね。あたしが来るってわかってたんなら、何をしに来たかもきっとわかってるはずよね」

アッカーマンはゆっくりと立ち上がり、帽子をとった。

まっすぐな黒髪が現れて、風に揺れた。

彼の鋭い目が、射抜くようにあたしを見据える。

リ「調査兵団兵士長のリヴァイだ」

思わず、大きく息を吸い込んだ。

全身に鳥肌が立つ。

調査兵団･･･兵士長･･･？

「･･･なぜ･･･」

そんな人がここに･･･

言葉がうまく続かず、心臓だけが激しく高鳴った。

あたしがいた頃には見なかった顔だ。

ということは、あたしが退団したあとに入団したってこと･･･

入団3年以内で兵士長･･･？

まさか･･･

あたしは、今日の出来事を思い出してハッとした。

あたしを襲撃した男たちを、「始末した」って言ってた･･･

もうあたしを襲ってこないように「手を打った」、とも･･･

深く考えなかったけど、兵士長を務めている人間なら、そんなことは朝飯前だ。

そして彼の持つ自信にあふれた空気、独特の物腰と鋭い目つき･･･

すべてが、彼が兵士長かもしれないという理由にピッタリとはまっていく。

ありえるかもしれない･･･

この人が･･･今の兵士長･･･

*