志操堅固な彼女【完】 (ページ44)

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そしてとうとう、この日がやってきた。
付き合い始めてはや2ヶ月半。

俺は腹を括った。

『……樹くん、どうしたの？ずっと喋らないけど…体調悪い？』

「あ、いや、違う。………A、」

『なに？』

「えっと…、キス、したい。」

………無言が怖いんですけど。
チラッとAを見るとポカンとした顔。

「……いやだ？」

『え？そうじゃなくて、イヤじゃないよ？イヤじゃないけど…樹くん、そういうのスマートにしてくる人だと思ってた。したいときにちゅってする感じ。』

「Aに前、怖い思いさせたし…二度と同じことしないって決めたから許可取ろうと思って…。」

『……ﾌﾌ、うん。私も樹くんとキスしたいなって思ってたからこれからは聞かなくてもいいよ。私もしたいなって思ったら自分からするね？』

なんだよ、可愛いすぎかよ。

「ﾍﾍっ、やべー。震える。緊張する。」

姿勢を正しお互い向き合うように座り直して
Aの両手をそっと握り、軽くキスをした。

握りしめる手も、触れるだけのキスも、
それだけで気持ち良いことを初めて知った。

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