Let me down -堕としてみせる- １ (ページ22)

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☆22、動きだすページ22

・

「こっち来いよ」

「待って。痛いっ」

「いいから」

「ちょっと人が見てる」

・

潤と会った地下の店から出たら

一瞬心臓が止まった気がした。

遼くんがこんなに

険しい顔をしたのを見たのは

初めて…だ。

手首に近い位置を

かなり強く引っ張られて

そのへんにいる人が

軽く野次馬的に

振り返ってくる。

路駐してあった車に

乗せられた次のタイミングには

静かに車が滑り出していた

・

「あのね」

「A どうしてまた、あそこにいた？」

「……」

「言いたくない？」

「そうじゃなくて」

「じゃあ何？」

「友達、友達と会ってて」

「友達って？」

「昔の」

「あのさ俺達結婚するんだよ。
これからずっと一緒に
生活していくんだよ。
いいとこも嫌なとこも見ていくんだよ」

「わかってる」

「わかってないよ」

「遼くんこそ何でいたの？」

「呼び出されたんだよ
タキシードの色確認に。
打ち合わせが終わって
歩いて車に戻ろうとしたら
A、フラフラっと歩いてて
なんかこの前もあそこだった。
AがAじゃなくなってたとこ
なんかあるの？」

「私が私じゃない……」

・

車が路肩に停められ

次に何が起こるのか

何を言われるのか

体に力が入る

パシッ…

・

「A、Aが
友達と会うのをどうとか
口は出さないよ。
でもさもう戻れないから。
結婚…。
浮わついた気持ち
いや、ちゃんと。
俺と一緒になるんだから
目を覚ませよ…」

・

静かな口調の裏側に

激しく厳しい遼くんの感情が

見えた日

遼くんが

潤の存在を

知ってる…？

・

【明日待ってる】

・

疲れて帰った部屋に

一件のメールが届いた

それは潤からだった。