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第29話〜強引な決断〜 ページ32

珱sibe

「ね、ねぇ…!」

土の擦れる音。

日の穏やかな照りを飽きる程浴び、急いで影に入ると颯天が私の目の前にいた。

泣きそうでありながらも露草色の潤んだ瞳を決意の形に整えて、彼は微笑む。

「僕、君に着いて行きたいんだ」

彼の柔らかな微笑みに、不器用な笑みで返し、握手を交わそうと右手を差し出そうとしたがまだ傷の塞がりが甘いのか鈍く痛んだ。

そんな私の様子に気付き颯天は左手を差し出してくれる。

……彼は優しい人だ。


彼は裏切らない。

何故かそう断言出来る。

彼の優しさで私は変われた。

彼の温かい手を握ると彼もまた強く握り返してくれた。

「うん良いよ、これから宜しくね」

柑橘系の香りがする風が吹き抜ける。

仲間が増えた。

でもまだ、“あの人”が見つかっていない。

私の旅はあの人を見つけたら終わるのだろうか。


いや、まだ分からない。


そんな事を考えながらも私“達”は洞窟へ戻り夜を待つついでに私の目的を伝えた。

「実は私探してる人がいるの、特徴は吸血鬼族としては珍しい蒼色の眼をしている」

彼はしばし考え込んだ後首を傾げながら何かを呟いた。

しばらくして。

「紅月 康弥。吸血鬼族の王に直接聞いてみよう」

彼が呟いた言葉に思わず耳を疑う。

王に!?直接!?

私だってまだ会ったこと無いのに…!

「ちょっ、ちょっと待って!?王に会いに行くの!?」

彼は呑気な顔でうんと頷くが私があまりにもオロオロしていると真剣な顔で説明を始めた。

「君はその子の事で知っているのは『吸血鬼族だという事』そして『珍しい蒼色の眼をしているという事』これ以外何も分かっていない。身長や暮らしている地域さえも」

何も言い返せずに私は黙る。

それでも彼は指を立てながら説明を続けた。

「勿論時間を掛ければ割り出せるかも知れない。【でもそれじゃ駄目だ】」

颯天の眼の色が変わる。

「僕は遠回りし続けて後悔してる、もっと強引にでも“彼女”との時間を作っていれば…とにかく、物はいつ破滅するか分からない、それに…」

颯天が寂しそうに笑い風さえ止まる。

「君はあまり慎重そうなタイプじゃなさそうだしね!」

正論に腹が立ちながらも説明がまとまった。

私は渋々頷く。

「でも私、会った事無い、どこにいるかも分からない」

私の言葉に颯天が立ち上がる。

「僕、場所分かるよ、僕だって馬鹿じゃないんだ。僕をいくらでも使ってよ!!」

頼れる笑顔に私は笑みを返すと雑談に花を咲かせ、月が昇るのを待った。

第30話〜独りじゃない〜→←第28話〜惹かれるように感じる〜



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ロリコンサンダー(仮) - うらみん PC垢さん» すみません!携帯とか成績とか精神が壊れていたせいで、更新が止まってしまい申し訳ございません。 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 726db12174 (このIDを非表示/違反報告)
うらみん PC垢 - 更新楽しみに待ってます (2019年10月25日 20時) (レス) id: 57acaff2a1 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - アエルさん» ありがとうございます……わ、わたしも……ポッ←すみませんwそういって頂けて嬉しいです! (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - しーずんぺろ子さん» そっ、それなぁ!?あ、ありがとうございます………(照) (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - べのむさん» え、えええええええええぇぇええええ!?!?!?!?ありがとうございますぅううう??? (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉愛&ロリコンサンダー | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年12月29日 11時

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