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「羽鳥……」
三ツ谷に腕を絡めて身を寄せたのは、待ち人である羽鳥だった。三ツ谷が羽鳥の存在に気づくと、「行こう」と手を引いて連れ立つ。休日の人混みに紛れると、流石に女性二人組は追っては来なかった。
少し開けた場所に出て足を止める。羽鳥はあっさりと腕を離して、三ツ谷は少し残念そうに離れていく手を視線で追った。
「悪い、ありがとな」
「……三ツ谷くん、カッコイイんだから気をつけて」
頬を膨らませて、口をへの字に曲げる。羽鳥が拗ねた時にする、わかりやすい合図だった。
これはもしや、嫉妬、してくれたのだろうか。恋人の可愛らしい感情に溢れ出る笑みを抑えられず、三ツ谷は口角がゆるゆるになるのを感じていた。
「なぁに笑ってるの」
「はは、ごめん。可愛いなって思っただけ」
「……もう!」
誤魔化されないんだからね! と口では言いながらも、羽鳥の口角がむずりと動くのを三ツ谷は見逃さなかった。表情がコロコロ変わるところも、三ツ谷が羽鳥を好きな理由の一つだ。
「嘘じゃないよ。……その服も、似合ってる」
そう言って三ツ谷は、改めて羽鳥の全身を見下ろした。
シンプルな白のパフスリーブワンピースに、ヒールの低めのパンプス、肩掛けのミニバッグ。羽鳥の素材の良さを引き立てる、シンプルで可愛らしいコーディネートだ。
なんと言うか……とても、いい。想像よりずっと。と言うと失礼になるのかもしれないが、やはり現実が一番最高、という意味だ。
「……ぁりがとう」
シンプルな褒め言葉に、羽鳥は少し頬を赤らめて顔を逸らした。何をしても可愛い。本当に可愛い。頭の中は馬鹿みたいにかわいいの文字だけが締めている。
「それじゃあ行こうか。……A」
「! ……うん、隆くん」
三ツ谷が差し出した手に、羽鳥の白くて小さな手が重なる。それを大事に握って、三ツ谷達は人混みの中に紛れて行った。
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綾鷹(プロフ) - どハマり中の作品!更新頑張ってください!!応援してます!!! (2021年8月17日 12時) (レス) id: 1e5c1477e1 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 初コメ失礼致します。すごく素敵な作品に出会えて大感激です…!三ツ谷のかっこよさと可愛さが全面に押し出されててめっちゃ好きです、、、これからも更新応援してます! (2021年8月17日 8時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
まつあい(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…泣 (2021年8月17日 5時) (レス) id: 616babd1d8 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - この作品に会えた事を感謝します… (2021年8月17日 4時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金蔓ゆるり | 作成日時:2021年8月16日 5時