8*朝食と逢引。 ページ8
私は朝食を食べ、珈琲を飲む治は目の前の席に座り、二人は向かい合った状態でいる。
じっと見つめられ、稍居心地の悪さを感じながらもサンドイッチを頬張る。
…美味しい。
暫くして食べ終えれば。
「さ、行こうか。」
治は立ち上がるなり、私の腕掴み乍ら街へ飛び出す。
…嗚呼、あのお店先払いで佳かった。
というか美味しかったなぁ。機会があったらまた行こう。
そんな事を考えて、何処に連行されるのかも知らない儘ズルズルと引き摺られていく。
『ねー…何処行くの?』
此の男のペースに乗せられるのは非常に拙い。
何処に行くのかだけでも把握しておきたいのだけど…うん。
私の声は届いていないのか_____否、高確率で
そして、少し考えるような素振りを見せ、云った。
「だーめ、秘密。デェトは男がエスコートするものだからね。」
薄く微笑む其の姿も、それなりに様になってしまうから悔しい。
逢引なんて、好きな人とするものでしょう?
…まぁ屹度、彼には関係ないのだろうけど。
掌に、するりと滑り込むような感覚を覚え、右手に視線を落とす。
『ちょ、治…!そのっ、此れは佳くないと思うなぁ!?』
「え?何が〜?」
ニヤニヤと楽しそうに、中也さんを揶揄う時と同じ表情をした彼。
不意に繋がれた手は恋人繋ぎで。
自然と頬が紅潮していくのが、自分でも厭なくらいに良く判る。
幼い頃からマフィアで育った私には、花笑い鳥歌う、青春と呼べるような其れとは全くの無縁で。
『治のばーかばーか!治が遊んできた女の人に恨まれちゃう…で、しょ…』
整った彼の顔がグイっと近付いたかと思えば、耳元でこう囁いた。
“今日は私がエスコートするって云ってるでしょう?”
拒否権はないよ、とでも云いたげな鋭い目つきと、弧を描いた口元。
…ほんと、狡い。
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らすく(プロフ) - みたら士さん» 嗚呼…何にも呟いてなかったからかもしれないです( ˙-˙ )見つけた(と思う)のでフォロー致しました(・∀・)b (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - らすくさん» たしかにつらいっすねぇ……そーいや、ツイッターでらすくさんのこと検索しても出てきませんっした……あの、私のこと調べてくれます…?『マスクにinする人』って… (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» エリスちゃんが可愛すぎてつらい( ^ω^ )森さんと一緒に写真撮りたいです(真顔) (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らすく | 作成日時:2018年1月4日 0時