【文スト】恋と帽子と包帯と。

19*仕掛と捕獲。 ページ19

実は過去に何度か黒社会最強最悪のコンビ“双黒”と仕事をしている。


其の為、二人だけの作戦暗号に加えて三人で使える作戦暗号も幾らか持っている。


そのうちの一つが「斜陽論者の灯影」だ。


今回は敵を倒す事よりも、捕獲する事を目的とした任務。


…否、正確には拷問ののちの処分を前提とした捕獲任務。


向こうは軍警に引き渡す必要があるけれど、此方は裏切り者を確実に潰す必要がある。


然し、軍警から直接捕獲命令が出ているわけではない。


探偵社ならではの倍返しの法則が働いているためである。


なら首取っちゃおうぜ★という安易な考えで、探偵社よりもマフィアの考えを優先。


別に依頼なわけではないから仕方がないね、と治からも承諾を得た。


因みに、その“けんじくん”にも治が捕獲までの手順を説明に行き、連携は無事に取れている。



『じゃあ、中也さん、其方は任せますね！』



「おう。Aも、気を付けろよ。」



「却説…作戦開始だ。行くよ中也。」



治の声を合図にして、私たち三人は、其々目的地へと走り出した。


私は標的(ターゲット)の男を色仕掛けでとある一室に移動させる。


…色仕掛けは厭だけど、既に仕込まれているものは致し方がない。


仕事で普段使いさせられないだけまだマシと云える。


そして、彼方の双黒は途中で二手に分かれる。


治は私の逃走経路を確保した後、中也さんと居場所を交換して敵の逃走経路を潰す。


行き場をなくした標的は、けんじくんがいる場所____因みに一室のバルコニー____しか逃げ場がなくなる仕組み。


頭で考えるより実践による実戦が早い。


坂口A、大きく深呼吸して…



『お兄さん…ちょっとだけ、一緒にお酌を交わしたい、です。ダメですか…？』



取り敢えず、羞恥心は捨てて、礼装の肩紐を片方腕までずらした状態の上目遣い。


姐さんが云っていた…これで微塵も心が揺らがない男はいないと。


見事に男は鼻の下をだらしなく伸ばしながら、葡萄酒の入ったワイングラスを二人分持つ。


…よし、掛かった。


絶対モテないんだろうなぁこの人。


容姿からも察せてしまうけど、こんな簡単に引っかかるなんて。



『あっちの部屋で…二人きりで話したいな。』



嗚呼、自分でも吐き気がしてきた。


…手早く済ませよう。



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アンケート第二弾です…。
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