【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

最悪の再会 ページ42

〈太宰side〉

私の現在地の反対に位置する場所辺りから、かな。

急に騒音が聞こえ始め、其れは暫くすると、静寂へと変わった。

私とした事が、音を辿って来た積りだったのだけど、全くの見当違いだった様だね。

此の感じだと、敵はAによって潰されたと考えても大丈夫かな。

仮にもあの蛞蝓の部下だった訳だから、体術遣いだと云われても別に驚きはしない。

…にしても、最後に一発鳴り響いた銃声は、彼女が発砲したものだと善いのだけど。


「此れは…」


其れは、ほぼ全ての物のサイズが大きい此の廃工場の中では、異様であった。

中也が屈んで漸と入れるかどうか、というくらい小さい扉。

どうやら、此の錆びた舵のような形をした物を回して開け閉めする型(タイプ)のようだね。

若しかして、この先に乱歩さんが閉じ込められてる？

否、罠かもしれない。

思考を巡らせていた其の時。


「やぁ太宰。」


背後から掛けられた声。


「乱歩さん！」


そこに居たのは、見た目は強靭な男二人に、腕を後ろで拘束されている名探偵だった。

派手な外傷は見当たらない。

脱出した所を捕獲された、という感じか。


「悪いね、しくじったよ。

…Aは其方だ。」


彼の訴えるような鋭い視線の先には、酷い傷を負ったAがいた。

此方も、頭を垂れた状態で、男二人に拘束されている。

…かなりの深手だ。あの短時間で何があった？

削れた靴の爪先と深紅に染まった左脚を見る限り、足を引きづられて此処まで来たんだろう。


「何だ、もう一人いるじゃねえか。此の女の証言と違ぇぞ！」


其の言葉を聞いて、瞬時に理解した。







________________拷問か。

結末→←元マフィアの

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