七十三言目 ページ28
マフィアのビルにつくと中也は菊池さんを連れて首領の所へ向った。
私はと言うと中也の執務室に置いて行かれた。
瑞希さんと共に。
貴方「瑞希さん、帰っても良いんですよ」
瑞希「帰るわけないじゃないですか。何であなたなんですか」
貴方「……本人に聞いたらどうです?」
瑞希「聞きましたよ。本能的にそうだと思ったんですって!それに上西さんの次もその次も全部上西さん一人だって言われたんです!」
あぁそれ、中也本人から聞きたかったな。
なんて呑気に考えながら何処かで瑞希さんが可哀想だなとも思った。
貴方「きっと中也は瑞希さんの好意わかってるし、別に瑞希さんの事嫌いじゃないんですよ」
瑞希「あなたに何がわかるって言うんですか!ずっとあの人に愛されてきたあなたに!」
ずっと、か。
本当にずっと愛されていたんだとしたら私は太宰がいなくなった後、あれ程死のうと思わなかっただろう。
もしかしたら死ぬという考えすら浮かばなかったかもしれない。
あの頃の私が死にたかったのは居場所がなくなったのが原因だから。
彼が今の様に私に接してくれていれば少し病むくらいで済んだのかもしれない。
彼を責める気はないし、今更昔の事をどうこう言うつもりもない。
けど、ずっと愛されてきたなんてのは私の首を彼の手の代わりに絞める理想でしかなくて、現実にはあり得ないことなのだ。
貴方「ずっとって、知らないでしょ?最近の話ですよ。私が彼にまともに愛される様になったのなんて」
瑞希「何言ってるんですか。そんな筈ないでしょう」
貴方「ここ最近まで同じ家にいても仕事以外の話しませんでしたから。瑞希さん、あなたの事が憎かったくらいにね」
瑞希「憎かった?そんなの嘘ですよ!それ程度の感情が憎いと言うなら私のこの感情は何だって言うんですか!」
突然頭に突き付けられた銃口。
でも何故か大丈夫だと思った。
銃口、それは私にとって一番嫌な物の筈なのに。
瑞希「声も上げないなんて随分余裕があるんですね」
貴方「そんな事無いですよ。ただ何故か大丈夫だと思えるんです」
瑞希「あなたのそういう態度が嫌いなんです。何処か飄々としている所が」
貴方「それって結局、あぁ、そっか、子は親に似るってね」
そう呟いて出た笑いが彼奴そっくりでやっぱり離れていても私の中で生きてるんだと実感した。
親とは違うけど私を私として確立させたのは太宰、彼奴だ。
そう考えると多少似てもしょうがないのかな、なんて。
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鶴媛(プロフ) - 紅野さん» わぁ!ありがとうございます!!お忙しいのに私の勘違いですみません!更新嬉しかったです、暑い日が続きますがどうかお体に気をつけてお過ごし下さい。 (2020年8月18日 1時) (レス) id: dda77e3f70 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます。いえいえ!忙しくて更新が止まってしまっただけです!また空いてる時間で更新するのでご安心を…! (2020年8月18日 0時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - え、八十五話で終わりなんですか?かなり気になるところで終わってしまって少し残念に思います (2020年8月17日 4時) (レス) id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 橘明音さん» ありがとうございます。そう思ってもらえて良かったです。ゆっくりですが頑張りますね。 (2020年3月2日 11時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
橘明音(プロフ) - 最後のコメントありがとうございます。 私は受験終わったけど学校なくて本当に暇だったのでそう言って書いてくださること、本当に嬉しいです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2019年2月6日 15時