アンケートに載せていた番外編1 ページ46
太宰さんがお休みの日、僕は太宰さんと一緒に街に来ていた。
デート、なんて言われて連れてこられた。
でも別に付き合ってるわけじゃない。
太宰さんだから嬉しいのは当たり前なんだけど。
と浮かれていたのもつい先刻までで、今は少し先にいる太宰さんを二人の女学生が囲んでいる。
ナンパってやつか。テレビでやってた。
まぁ太宰さんだもんモテるよね。
太宰さん戻ってこないな。やっぱり僕なんかより普通の人間の女の子の方が好きなのかな。
そう思ってため息を落とすと太宰さんの所にいた女の子が一人、僕の方に歩いてきた。
女学生「ねぇ、四人で一緒にカフェ、行かない?」
どうしてそうなったんだろう。
問いかける間もなくいいよね?と偽善の笑みを浮かべて否定する隙を与えてくれない。
僕がそれに頷いてしまったのは、その笑みが何処か彼奴にそっくりだったから。
僕の肯定を確認するとその女の子はまた太宰さんの元に戻って私を手招いた。
おずおずと近寄るとじゃあ行こうか、なんて声を掛けて二人は太宰さんの腕にべったりとくっついて歩き出した。
女学生は気持ち悪い声で太宰さんに話しかける。
何時もと変わらない太宰さんに何処か苦しくなった。
僕は後ろをついて行くだけ。
僕の太宰さんなのに……。どうして嫌がらないの?やっぱり僕なんかより普通の人間の女の子の方が好き?僕に言った好きは違う好きなの?
意外にも大きかった僕と人間の間にある壁は簡単にはどけてくれなかった。
この人間より尖った八重歯を取ってしまえたら…。
血がないと赤くなる目をどうにかできたら…。
飲んだ血を溜める臓器や出血を止める不思議な力をなくせたら…。
普通の人間として太宰さんと会えていたら……。
そう考えると目の前で太宰さんの腕に自らの腕を絡める女学生が憎らしくてしょうがなかった。
目的のカフェにつくと太宰さんの隣、目の前には先刻の女学生が座り、僕はぽつんと太宰さんの対角にある椅子に座った。
貴方「僕、ちょっとお手洗い行ってくる」
隣に座っていた女学生の適当な返事を聞いて席を立った。
あの場は居辛い。僕はいなくてもいいんだ。太宰さんを連れてくる為の口実に使われただけだ。
わかってる。
此処を出よう。帰ろう。太宰さんはきっと僕じゃなくても楽しいだろうし、太宰さんがいいなら憎いけど我慢できるよ。
我儘を言う心算はない。困らせるくらいなら僕が背負って笑ってもらった方がいいから。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時