分離した意識の中で ページ38
鏡に写った僕は見るに耐えない姿だった。
真っ赤になった目。
首筋や胸元、丈の短いワンピースの裾から見える太腿なんかについた赤い跡。
腕や足、それ以外にもある青い痣。
服を捲ればあの日つけられた大きな傷。
傷は治ってない上に特に手当てもされてないから偶に血は出るし、蹴られたりするせいで前より酷くなってる。
顔色は何時になく真っ白だし、自分で見てもわかるくらいに痩せた。
こんなんじゃ太宰さんに会えない。
なんて言われるだろう。
嫌われるだろうか。
そんな自分の姿を見てなりきらない笑い声が出た。
くらくらする。立ってられない。
机に手をついてしゃがみ込んでも何もかわらなくて、真っ直ぐに進まない足を無理矢理動かしてベッドまで行く。
ベッドに蹲るともうそこから動けない様な気がした。
我儘だけど太宰さん以外の血なんて飲みたくない。
わかってる。飲まなきゃ死んでしまう事くらい。
でももう太宰さん以外の血なんて飲めない。
あの味を忘れない限り。
ゆっくりと目を瞑る。
扉の向こうが騒がしい様な気がした。
でも北原さんは朝出て行った。
僕に何時戻るか告げて仕事?に行ったようだ。
じゃあ誰が騒いでるんだろう。
事故?火事?
まぁいいや。
手放しかけた意識を連れ戻したのは誰かの声だった。
「A、ねぇ、起きて」
北原さん?
でも帰ってくるには少し早い様な…。
違うとしたら誰…?
「ねぇ、A」
少し冷たい人の手が頬に触れる。
この体温知ってる。
ゆっくりと目を開け、僕の頬に伸びた手を辿って行くと、一番会いたい人を見つけた。
貴方「太宰、さん…?」
太宰「良かった。……大丈夫?目、真っ赤だよ」
太宰さんだと脳が認識すると無意識のまま身体が勝手に彼の首に手を伸ばした。
太宰「A?」
返事をしたくても意識と身体が分離してるかの様に身体が言う事を聞かない。
その儘彼の首に歯を立てると何度か聞いた苦しそうな声が聞こえた。
口の中に入ってくる味は紛れもなく太宰さんので、来てくれた事の嬉しさと、されてきた事の申し訳無さとが混ざり合って泣いてしまいそうだった。
太宰「血、飲んでなかったんだね」
僕の頭を撫でて首から口を離すように促した。
太宰さんの手で血を飲む事をやめた僕はただ太宰さんの真っ赤になった包帯を取る手を見続けた。
太宰「ない方が飲みやすいだろう?おいで」
意識は太宰さんを傷つけない様に今直ぐやめたいのに、身体は彼の血を欲してまた手を伸ばした。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時