後悔の中に沈む ページ32
引き続き太宰side
考えを巡らし数十分。
電話が鳴った。
嫌な予感がする。何だろう。突然冷たいものが背中にのしかかる様なこの感覚。この電話を取らなくちゃいけない。
乱歩「おい、太宰」
早くしろと言いたげな乱歩さんの声に出なきゃいけないんだと手を伸ばす。
少し震える指先を見ないふりして電話に出る。
太宰「はい」
『あ、先程そちらに伺った者ですが』
太宰「あぁ、はい」
『見つかりましたのでもう大丈夫です』
太宰「え……」
『お手数おかけしました。それでは』
ぷつんと切れて無機質なツーツーという音だけが聞こえる。
見つかりましたので。そう言った。どういう事だろう。Aは家に……。
家に……?
どうしよう。奴らの方が先に動いた。
受話器を無造作に置き、家に急ぐ。
国木田くんが引き止める声が聞こえたがそんなの気にしていられない。
だって、彼女はもう家にいないはずだから。
きっと彼奴が探偵社に来た頃、もしくは来る前にAは奴らに連れ去られてる。
どうしてそうなる事を予想できなかったんだ。
こうなるんだったら無理矢理にでも連れて来るべきだった。
太宰「A!」
扉を開けた先に彼女はいなかった。
あるのは何時も彼女が寝ている布団がぐしゃぐしゃになっているのと、床にポタポタと残る血痕だけだった。
此れは誰の血だろう……。
Aの…?
だとしたら怪我をしたのかもしれない。
怪我ならまだいい。致命傷だったらどうする。
殺されているかもしれない。
そんな風に悪い予想だけが連鎖する。
何故連れて行かなかった。拒絶されても守らなきゃいけなかったのに。彼奴から助けてと言われたばかりだったのに。何故守ってやれなかった。もっと早く気づけたはずなのにどうして見逃した。
私のせいだ。昨日、彼女は私を信用して助けてと言った筈なのに私はそれに答えてやれなかった。こんなに早く来るなんて思ってなかったと言えば言い訳に聞こえるかもしれない。けれどAの事になると上手く頭が回らなくなる。
私が悪いんだ。
自分を追い詰め、彼女の現状を思うと目の前がぐにゃぐにゃと曲がっていくような感覚に陥って身体に力が入らなくなった。床に倒れ込むと今度は息が苦しくなって来て、彼女が死んでいたらどうしようと思う度に呼吸ができなくなっていく。
次やるべき事を考えなくちゃいけないのに身体も脳も言う事を聞かず駄目になっている。
意識が少しずつ遠のいていく。
私が助けに行かなきゃいけないのに……。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時