まだ彼に手を伸ばせない ページ17
夜中と夜明けの境目。
僕は無意識に本音を太宰さんに打ち明けてしまった上に、彼の本気とも取れる優しさが痛くて泣いた。
彼はただ何も言わずに僕を抱き寄せてくれた。
それだけでいい。
それだけで十分だからあんな事言わないで。
もし仮に本気だったとしても受け入れてしまえば僕は太宰さんのいない世界で生きていけなくなる。
そばに居させてもらうために彼の言葉や動きの一つ一つにびくびくしながら生きなくちゃいけなくなる。
そういう生き方しか知らない。
きっと彼は僕がそうなる事は望んでいない。
太宰「……大丈夫かい」
ふと小さく呟かれた言葉。
優しい言葉でさえ怖く感じてしまう。
彼は僕の事をどう思っただろう。
もし彼が変わってしまったら僕はどうすればいいんだ。
貴方「……ごめんなさい。変な事言っちゃって」
太宰「あれが君の本音だろう？」
貴方「え……」
太宰「隠す必要なんてない。言っただろう？私が全部受け止めるって」
貴方「でも、本音なんて言ったところで……！」
落ち着けとでも言うかのように彼の長い人差し指が僕の口を止めた。
そして心地良く耳に残る声で話しだした。
太宰「少しでも外に出せば軽くなる。沢山泣いて、辛かった事は言えばいい。折角自由になったんだ。自分の思う様にすればいい。それに、私は君の全てを受け止めてあげたい。我儘も甘えも孤独も」
貴方「……僕は太宰さんを信用してない訳じゃない。でも信用しきってる訳でもない。気づいたんだ。僕は怖がりだ」
これだけで彼は何を把握しただろう。
でも僕にとってはこれだけで先刻からずっと悩んでいる事は片付く。
昇り始めた朝日を追いかける様に座るとそう、と彼が納得した様に言う声が聞こえた。
太宰「わかった。君が全てを見せてくれるまで待つ。でもこれだけはわかっていてほしい」
隣に座った彼は僕としっかり目を合わせた。
何時もまじまじと見る事のないその目には朝日と揺れる赤の影が映っていた。
瞬きも忘れるくらいに綺麗な目。
小さく息を吸う彼。
太宰「A、私は沢山の女性の相手をしてきてる。もう何年も。でもね、今はそんな遊びを止めれるくらい本気だ。だって今まで会ったどんな女性よりも私のタイプで本心に触れる事を全く許して呉れないんだもの。……君の事が好きだ。……ごめんね。言う心算はなかったのだけど、もう我慢出来なくて……」
寂しそうに笑ってふっとそっぽを向いた彼の横顔には確かに涙が光を反射していた。
【息抜きの為の番外編】血が出ているからといって→←月光に愛を拒んで
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀｀) (2018年9月27日 23時) (
レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…！頑張らせてもらいます…！ (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました！ありがとうございます(*´ω｀*)これからも更新頑張って下さい(*´∀｀) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…！そう言って貰えるととても嬉しいです！私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2017年9月24日 22時
