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同じ孤独を ページ14

酷い夢を見た。
目の前には父さんと母さんがいた。
二人の間には僕が知らない少年がいた。
顔はよく見えないけどきっと…。
きっと……弟だ。

『またそうやって他人を不幸にするのね』
『早く死んだ方が楽だろう』
『いつまで生きているつもりなのかしら』
『誰もお前を必要としない』
『いい加減世の中に迷惑をかけるのはやめなさい』
『うちの子に悪い影響が出たらどうするんだ』
『お前はもう要らない』

二人が発したのはそれだけだった。
目を開ければ白い天井と薬品の匂いだけがあった。
体を起こして見ると少し先に一人の女性がいた。
彼女は僕に気づくと側にあった椅子に腰掛けた。

「顔色が悪いね」

貴方「え、あ、大丈夫、ですから……」

「無理すんじゃないよ。まぁ、妾よりも太宰の方が話しやすいだろう。ちょっと待ってな」

そう言うと彼女は部屋を出て行った。
……何だかかっこいい人だ。
ボーッとそんな事を思っていると扉が開いてさっきの女性と太宰さんが入って来た。

太宰「A、何処か悪いのかい?」

貴方「……大丈夫」

太宰「我慢しなくていいのだよ?」

貴方「……」

黙る僕を見てか、気を使ってか女性は用があるからと出て行った。
さっきの夢の話をすれば彼に心配をかけてしまう。でも言わないと彼は原因を探ろうとするだろう。

貴方「……太宰さん」

太宰「何?」

貴方「……僕は必要とされてないんですか」

太宰「…え?」

貴方「僕は要らないんですか。生きていたら他人を不幸にするんですか。……死んだ方が良いんですか」

苦しい。辛い。涙なんて流した所で何も良くならないのに自然と落ちていってしまう。
その行く先に目をやっていると太宰さんに抱き寄せられた。
それは何度かしてくれた中で一番優しくて力強いものだった。

太宰「……そんなことない。Aがいても私は不幸じゃないよ」

貴方「太宰さんは一緒にいる時間が長くないからそう言えるんです」

太宰「いや、そうじゃないよ。わかるんだ。君は何処か私に似てるからね」

貴方「……太宰さんと僕が?」

太宰「どうしても他人事とは思えないんだ。親に見捨てられて、人に買われて…」

僕を抱きしめ腕に少しずつ力が入って行く。
でも痛くはなくて、落ち着くような気がした。

貴方「……太宰さん?」

太宰「君と一緒だ。私は親なんてもう覚えていないけれど、その孤独はわかる」

僕と一緒……。
だから彼はこんなにも僕をわかろうとしてくれるんだろうか……。

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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時

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