【文スト】彼に好きとは言えない【太宰治】

好き？×４４ ページ49

翌日。
探偵社で書類を書いたりまとめたりしていた。
すると敦くんがちょこちょこと寄ってきてあの…と呟いた。

貴方「どうかした？」

敦「あ、えっと、もし良ければ休憩しに行きませんか…？」

貴方「うふふ、いいよ」

気づけばもうお昼頃を過ぎていて朝から相当集中していたんだと自覚する。
因みに太宰は国木田に連れて行かせた。
昨日とかあんだけデレデレしといて一緒に行動するのはキツイ。

敦くんと付いて来た谷崎くん、私で下のうずまきに来た。

谷崎「Aさんは依頼行かなくてよかったんですか？」

貴方「いいのいいの。私まで書類貯めたら国木田の胃に穴あくでしょ」

敦「あー…それもそうですね」

まぁそれだけじゃないけど……。
話変えよ…。

貴方「敦くんこそ行かなくてよかったの？」

敦「僕は昨日の報告書書かなきゃいけなかったので」

貴方「なるほどね」

のんびりした雰囲気の中、突然私の携帯が鳴った。
画面を見ると中也からで、二人に断って電話に出ることにした。

貴方「はい？」

『今いいか？』

貴方「うん。丁度休憩してるとこ」

『そうか』

貴方「で、何？」

『……良かったな』

貴方「…は？」

『無くなった。お前の借金。全部』

貴方「え、嘘…」

『本当だ。俺達が潰す前に倒産したみてぇだ』

貴方「そっか」

実感は無いけど頬が緩む。
少し気が楽になる。

『ま、そんだけだ』

貴方「…ありがと。お兄ちゃん」

『どーいたしまして。じゃあな』

電話を切って珈琲を飲む。
こんなにあっさり無くなるものなんだ…。

谷崎「あ、あのAさん」

貴方「ん？」

谷崎「最近気になってたんですけど、お兄さん、いるんですか…？」

敦「たまに言ってますもんね」

貴方「え…？あーふふ」

太宰以外に通じない事を思い出し、二人の疑問顔が面白くてつい笑ってしまった。

貴方「違う違う。お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないの」

敦「…え？兄妹じゃないんですか…？」

貴方「お兄ちゃんって中也の事だよ。マフィアの幹部の」

谷崎「え、重力使いの中原中也ですか!?」

貴方「そうそう。太宰も中也も付き合い長いんだよね」

敦「長いってどれくらい…」

貴方「んーもう十年以上だね」

十六年？とかかな。
記憶が曖昧だからはっきりとはわからないけど。

谷崎「太宰さんと前職が同じとは聞いてましてけど、真逆そこまでとは…」

貴方「じゃあ昔話してあげる」




死を求め続ける奇才



重力に逆らう強者



血と憎悪を羽根に纏う天使

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