好き?×40 ページ45
次の日、私は午前中お休みを貰った。
会いに行かなきゃと思って。
貴方「……織田さん。久しぶり。…彼、治と一緒じゃなくてごめんね。突然、会いたくなって。お礼も言わなきゃって思って」
勿論返事は無い。
織田さんの前だと何故か彼の事を名前で呼びたくなる。昔からそう。きっと何処かでまだ彼の事を兄の様に思ってる自分がいるからかもしれない。
…何故織田さんじゃなきゃいけなかったんだろう。
別に違う人でも良かった筈なのに。
彼が亡くなった時のことは詳しくわからない。
これだけは治も教えてくれない。
そりゃそうだろう。大事な友達で、丁度良い距離の理解者だったんだから。
貴方「……ねぇ、織田さん。私ね、ちゃんと約束守ってるよ。もうずっと銃は握ってないし、ノワールに殺させる事もしてない。……でもね、最近思うの自分や仲間を守るためにその技術を使いたいって。……人殺しじゃなくて人を救う為に。……誰かに良いよって後押しされたいだけだけど」
「A」
ふっと現れたノワールが何時もと違って落ち着いた声で話しかけてきた。
貴方「あっち行って。今は本当に。冗談抜きで」
ノワール「違うんだ。あのね…いるよ」
貴方「何が」
ノワール「彼、そこにいるよ。君の話全部聞いてる」
……彼?
貴方「え……織田さんが…いるの…?」
ノワール「見えるんだ、僕。これでも天使だから」
貴方「……私も、会いたい」
ノワール「貸してあげる。僕の力」
突然ノワールの手が私の目を覆った。
少しして離されて見えた先には、昔の儘の織田さんがいた。
貴方「織田さん…!どうしよう。織田さんだ…」
織田「…A、大きくなったな」
貴方「そりゃもう二十一だもん。……織田さん、有難う」
織田「ん?」
貴方「私達に此方の世界を見せてくれたことも、お金のことも。ずっと言いたかったの。有難うって」
織田「ちゃんと聞いてた。あんな少ない金じゃ何にもならんだろう。悪いな」
貴方「額なんてどうでもいいよ。気持ちが嬉しいの。…それにね、もしかしたらもう払わなくて良くなるかもしれない」
織田「完済か?」
貴方「ううん。潰れるかもしれないの。相手の会社が」
織田「そうなのか」
そう言って頭に乗せられた手が昔と何も変わらない大きさ、重さで我慢してたのに涙が溢れてきた。
織田「どうした」
貴方「嬉しくて。…もう、会えないと思ってたから」
織田さんはそうか、と一言呟いて昔みたいにただ黙って隣りに居てくれた。
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自殺したい - 返信ありがとうございます!!私も今初めて小説を書いていますが難しいですね、、、。中3の頭ではキツいです、、。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 自殺したいさん» ありがとうございます…!最近はペースが落ちてきてますが気長に待ってもらえると有難いです…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 味の素さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
自殺したい - めっちゃいい話ですね。。。大好き。。 太宰さんがかっこいいーー!!泣いちゃいました。何回見ても飽きな!! これからも頑張ってください! 続きを楽しみにしながら腕に包帯を巻いておきます!!! (2017年10月25日 16時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 更新がんばってください!応援しております! (2017年10月1日 22時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年8月25日 23時