好き?×13 ページ15
心地良いピアノの音。
静か過ぎない店内。
グラスがぶつかる音。
そんな音を聞きながら私は店員の子と話したり、お客さんと話したりしていた。
店員「夕ちゃん聞いた?」
貴方「何をですか?」
店員「今日太宰さん来るらしいわよ。あと、彼の仕事仲間が数人」
貴方「う、嘘。何でー。呼んでないよー」
溜息をつく私を見て目の前のお客さん(常連でちょっと名の知れた企業のお偉いさん)は笑った。
客「いいじゃないか。君のファンが増えるのは惜しいけどね」
貴方「増えやしませんよ」
客「いやぁ、ひと目見ただけで惚れ込むやつは多いからねぇ。夕ちゃんは人を惹き付ける天才だね」
貴方「そんな事無いですよ」
私に恋人がいることは店員と店長しか知らない。
お客さんは誰一人知らないのだ。
ふと店長が来てそろそろ準備をと声をかけてきた。
私は店員とお客さんに一言声をかけて準備の為に裏へ戻った。
今見た限りまだ太宰達は来ていない。
でも大体の時間配分を知ってるから歌い始める頃にはいるだろう。
もう諦めがついて考えることも、彼を咎めることもやめた。ただ気づいていたなら一言、何でもいいから一言後でかけてくれないかなぁなんて期待はしている。
まぁ今日の曲目を見て気づかない程阿呆じゃないだろう。
鏡を見て変な所がないか確認をする。
探偵社にいる時は殆どしない化粧、そろそろ塗り替えたい赤い爪、上品に巻かれた髪、ヒール、黒と赤を基調としたミニドレス。
派手過ぎず少し目立つくらい。
そんな私を見て太宰は、大人っぽくて違う人みたいと言う。でもそれも好きって言ってくれる。
いつもそんなに子供っぽいかなぁ…。
そんな思いに浸っているとピアノの音が余韻を残して止まった。
店長「出番だよ、Aちゃん」
貴方「行ってきます」
そんなに大きくないステージに立つ。
見渡すと探偵社の面々もいた。
何で谷崎くんや敦くんもいるんだろう。
私の思いを遮るようにピアノが前奏を奏で始める。
軽快なジャズ。
今日は半分が失恋や何かを諦めた様な曲。後ろの半分は開店直前に変更して明るい雰囲気の曲。後はピアノソロ。その間はまたさっきみたいにお客さんや店員と他愛もない話をする。閉店前にもう二曲歌う。それが私のスタイル。
最後の二曲は太宰が気に入ってる曲。片方は割と新しいが、もう片方は結構古い。私が歌い始めて少し経った頃に書いたもの。でも二曲とも彼を見てできた曲。彼はその事をわかっているんだろうか…。
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自殺したい - 返信ありがとうございます!!私も今初めて小説を書いていますが難しいですね、、、。中3の頭ではキツいです、、。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 自殺したいさん» ありがとうございます…!最近はペースが落ちてきてますが気長に待ってもらえると有難いです…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 味の素さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
自殺したい - めっちゃいい話ですね。。。大好き。。 太宰さんがかっこいいーー!!泣いちゃいました。何回見ても飽きな!! これからも頑張ってください! 続きを楽しみにしながら腕に包帯を巻いておきます!!! (2017年10月25日 16時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 更新がんばってください!応援しております! (2017年10月1日 22時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年8月25日 23時