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三曲目 ページ4

「……相変わらず仲が良いのね」

私の口からふわりと零れた、ごく自然な言葉。
無感情なのに、どこか空虚に聞こえたのは気のせいだろうか。

「そりゃあチーム組んでるからな」
「結構長い間一緒にいるしね」

四人は顔を見合わせて頷きあう。
ナツとグレイだけは、その事実を否定し続けるように互いを睨んでいるようだが。

「おいらもいるよ!」

ぴょこりとナツの背後から飛び出てきたのは、羽が生えた青い猫。
ハッピーという名前で、もともとエドラスという違う世界からきた動物らしい。
詳しくは知らないが、ナツの手によって卵が孵り、そこからずっとナツに育てられてきた立派な妖精の尻尾のメンバーの一員だ。
他にもこの子と同じような姿かたちをしたメンバーが二匹(人?)ほどいる。

「ところでAはチームを組まないの?」
「……私は」

少しだけ情けなく思う。
だけどこれ以外の答えを私は持ち合わせてはいないような気がした。

「…私は、後にも先にも、ロキ以外と組むつもりはないわ」

思ったより冷たく響いたその言葉。

ロキのパートナー。
それだけが私の誇りだった。自慢じゃないがロキと一緒ならどんな依頼もスムーズにこなせたし、二人での戦闘も阿吽の呼吸で息が合っていた。

何より、心が通じ合っている気がした。

ギルド内で、ビスカとアルザック以上に仲の良いカップルだった。恋人同士だった。
彼にとって“恋人”と呼べる女性は星の数ほどいたかもしれない。私はその一人だった。
だけどそれでも構わなかった。

「私は特別」――

そう心に刻み付けて、自分に言い聞かせてきた。
彼にとっての“恋人”の中で、唯一私だけが彼のすべてを知っていた。
彼の過去を知り、正体を知り、彼を支えてあげるのは私一人だった。
私は他の女とは違ったし、彼も私だけはトクベツだった。

……ルーシィによって星霊界に戻されるまでは。

私がどれだけ足掻いても出来なかったこと。
私がずっと血の滲む努力をしても出来なかったこと。
きっと、ルーシィにしかできなかったこと。

そして私は今でもまだ、立ち直れていないから。

「……まさかロキのやつ、星霊界に帰ってから……」
「一度も会話してないのよ。 あの日私と別れを告げて私の前から消えて……それっきり、なぁんにも」
「え、ま、ま、待って、ロキって」
「Aはロキのパートナーであり恋人同士だ」
「えっ!?」
「まじか!?」
「ルーシィはともかくなんでナツも知らないのよ。 ギルド公認の仲よ」

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設定タグ:フェアリーテイル , FAIRYTAIL , 妖精の尻尾   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年7月1日 1時

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