二十七曲目 ページ28
「どうした、笑ったりして」
「あら、笑っちゃいけないの?」
「……いや? チームの仲間として、気になっただけだ」
そのエルザの言葉に、ルーシィの声が上がる。
どこにそんな気力がまだ残ってるのか、思い切り起き上がり私たちのほうを向いた。
「え、Aって私たちのチームに入ったの!?」
「ん? ルーシィ知らなかったのか?」
「え、ナツは知ってたの!?」
「ルーシィ……流行おくれ!」
「いや意味違うし!」
はしゃぐ二人(と一匹)を見て、ふと首を傾げる。
そしてエルザのほうに目配せをしたが、私の目配せの意味を理解しなかったらしいエルザが首を傾げて私を見返す。
「ナツに言ったかしら、チームに入ったこと?」
「んぉ?」
素っ頓狂な声がナツから返ってくる。そんな声に私はさらに深く頭を傾げる。
「一緒にこの任務受けるって決めた時から、俺らは仲間だろ?」
「……」
開いた口が塞がらない。
不思議そうな顔のナツに釘付けになると、ふと笑い声が聞こえた。
グレイだ。
「くっ……こりゃ、ナツに一本取られたな、A!」
「……ナツ、それを言うならギルドに入った時点でみんな仲間じゃないの」
少しだけ悔しくて屁理屈をごねる。
するとナツはきょとんとした顔で私を見た。頭の上にハッピーが乗っている分、さらに間抜けに見えてしまう。
「え、仲間って……チームだろ? いやだから一緒に任務した時点で、Aはチームの一員だって」
「潔く負けを認めろA。ナツのほうが一枚上手だったみたいだな」
面白がるようにグレイは笑う。
むす、と頬を膨らませればさらに笑い声が響く。かたやルーシィはまったく会話についていけてないようで、さっきから「え?」を繰り返していた。
「もういい、お風呂入ってくる……」
「あぁ。皆汗だくだろうし、一度お風呂入って少しでも多く睡眠をとろう」
「ひょっとして明日……えっと、今日にはもう帰らなきゃいけないの?」
「午後に帰るつもりだ」
そのエルザの返答を聞いて、ルーシィは悲しそうに眉をさげる。
確かにとても楽しい一日だったから、残念がるのも分かる。
でもだからといっていつまでも居座るわけにもいかないだろう。このペンションも、海辺に住んでいる人たちが好意で貸してくれたものなんだし。
「じゃあ私お先に入らせていただくわね」
「あぁ、ならばもう一つの風呂場は私が使うことにしよう」
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作者名:始まりの神 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月1日 1時