十曲目 ページ11
「エルザ一人に肉を狩らせるのは無理があるかもしれないし、ナツはエルザを手伝って、肉を狩ってきてくれないかしら？ ルーシィは野菜類をお願い、グレイもそれを手伝って。 海辺だからあまり期待できないけど……近くに森もあるらしいしそこで何か採れるか見てきて。私とハッピーは一緒に魚を捕まえましょう」
「おさかなー！」
さらさらと指示をだす私に、ルーシィは少しだけびっくりした顔で了承した。
「うん、わかったわ！ 行きましょ、グレイ！」
「あぁ」
「今ちょうど六時を回ったところだし、一時間後に戻る感じにしましょ」
「おっしゃー！ エルザより立派な獲物をしとめてやる！」
ルーシィとグレイ、そしてナツは踵を返しともに森がある方向へと向かっていく。
それを見送った私とハッピーは、海のほうを振り返った。
「じゃあ行きましょうかハッピー。どんな海鮮が取れると思う？」
「おいらでっかいおさかないーっぱい捕まえるよ！」
「ふふ、いつもおさかなを捕まえてるんだからハッピーは私よりきっと器用に捕まえられるわね。頼りにしてるわよ」
「うん、任せて！」
サンダルを波に流されない位置に残し、私は裸足で浜辺を歩く。すぐ隣ではハッピーがふよふよと翼を出して浮いていた。エーラ、っていうんだったかしら？
「カニとかも捕まえられるといいわねー」
「いいね！ おいらはおさかなにしか興味ないけど！」
「ふふふ、ハッピーらしい」
「シャルルがいてくれたら、とっておきのおさかなを捕まえてプレゼントするんだけどなー……」
「そうねぇ、今度はウェンディやシャルルとも一緒に来れるといいわね」
この任務に私が誘われたとき、ウェンディは確かギルドにはいなかった。おそらく別件の任務にでも出かけていたのだろう。
その今度、に私が含まれていないであろうことを考えて少し寂しくなる。
久々に、ギルドの外に出てもこんなに騒がしいままだったのだから。
「あ！ A、おさかな！でっかいの！」
「嘘、こんな浅瀬に！？」
「ほら、ここ、ここ！」
「本当だ、……でっかいわね！ ハッピー捕まえて！」
「任せて、って、うわー！」
「きゃー！」
そんな寂しげな思考も、ハッピーに引っ張られ海の中に落ちた瞬間泡のように消えたわけだけれど。
***
「ちょ、どうしたの、A！？びしょ濡れじゃない！」
「……海に落ちたわ」
「あいぃ……」
でもおっきい魚は捕まえられたわよ、と小さくどや顔。
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作者名：始まりの神 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年7月1日 1時
