１０７◆もう逃げたくなかったと彼女は言う◆ ページ13
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「あ、かし、く……」
「大丈夫か、桃井！」
その場に座り込んでげほごほと咳き込む桃井に、赤司が駆け寄る。
背中を擦り、桃井の無事を確かめようとして、赤司は息を呑んだ。彼女の首元に赤い手形の痣がくっきり浮かび上がっていたからだ。
赤司が見たのは、Aが桃井の首を絞め上げ、そしてちょうど殴ろうとしていた瞬間だ。間一髪、桃井が殴られることはなかったが、しかし行き過ぎた暴力に赤司はぐっと拳を握りしめた。
「っ、言ったはずだ。手を出したら、容赦はしないと…！」
「やめて、赤司くん！その子を責めないで！」
桃井を庇うようにして立ち上がり、Aを睨み付ける。彼女の胸座を掴もうと腕を伸ばしたが、桃井がそれを阻止すべく赤司に縋り付いた。
それどころか、赤司とAの間に割って入り、Aを庇う姿勢を見せる。
「退くんだ、桃井！自分が彼女に何をされていたのか、わからない訳ではないだろう!?」
殺されかけていたんだぞ!?と言うと、桃井は酷く傷付いた表情を見せる。
しかし否定する様に首を振り、Aを庇うことをやめなかった。
「でも、でも！私にも…赤司くんにだって、この子を責める権利なんてないんだよ…！」
「桃井、何を言って……」
「だって、この子は、Aは――！」
桃井が言いかけた瞬間、バン！と大きな音が響き渡る。桃井の言葉を遮るようにして響いたそれは、Aが壁を思い切り殴ったことによる音だった。
Aは二人に目を向けると、忌々しげに顔を顰め、舌打ちを鳴らした。
「は…こんな時までイイ子ちゃんのつもり？……反吐が出る」
「！ 待て、まだ話は……！」
吐き捨てるように言い、二人に背を向けて立ち去るAを赤司は引き留めようとするが、やはり桃井がそれを阻止する。
同情や罪悪感からAを庇っている訳ではないのだろう。桃井が彼女を庇う姿は、あまりにも必死だ。
赤司はやれやれと溜息を吐く。「今回は見逃そう」と桃井に言ってやると、桃井はあからさまに安堵した表情で、ほっと息を吐いた。
「桃井、ちゃんと説明してくれ。何故彼女を庇った？いや、それ以前にどうして二人きりで居た？」
「うん。全部話すよ。知りたかったことも、確かにあの子から聞けたから」
そう答えた桃井の瞳は力強く、何かの確信を得たと語っているように見えた。
桃井が何を知ったかはわからない。しかし確実に真白Aに関することだろうということだけはわかった。
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あかりんご(プロフ) - ずっっっと待ってます、また更新してくれるのを楽しみに待ってます！ (2021年4月11日 16時) (
レス) id: 9550685691 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - 続き待ってます…。不安定な所での更新停止中なので何だかウズウズしてしまいます…。 (2020年2月9日 3時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - こ、ここで？ここで更新停止中なの？！めちゃくそ気になんじゃん…更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: da8ce484b3 (このIDを非表示/違反報告)
紫水(プロフ) - とてもおもしろくここまで読ませて頂きました！この後キセキと真白ちゃんがどうなっていくのか、とても気になります…！お話の続き、待ってます！！ (2019年11月2日 13時) (レス) id: 4db15d5771 (このIDを非表示/違反報告)
honoka1013(プロフ) - この続きがとても気になります。更新を再開してくれませんか？楽しみにしています (2019年9月3日 15時) (レス) id: f57eb90381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縁樹
| 作成日時：2016年12月24日 5時
