2.クールはどこへ ページ3
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「はぁ…」
ため息をついて、渋々奥の部屋に向かう。
そこには…
「ほら、おいで！！」
さっきのクールな表情とは打って変わり…
満面の笑みでソファに座り、自身の膝をぽんぽんと叩きつつ両手を広げる…
「…セフンさん」
「はやく〜ちゃんと仕事したんだから〜！」
「さっきの依頼、10分くらいでさっさと終わらせちゃいましたよね」
「そうだけど…仕事したのには変わりないでしょ？依頼人も満足してたし。ほら！はやく、おいで！」
「…はぁ」
仕方がない、こうしないと、この人はおさまらない。
私は渋々セフンさんの…膝の上に、座る。
「んー、癒される…今日もかわいいねぇ〜…」
ぎゅーっとお腹に手を回され引き寄せられ。
さっきまでのクールさはどこへやら。
2人きりになった途端、私のことを猫っ可愛がりしてくる、セフンさん。
私は仕事中の彼はかっこよくて大好きなのに。
このセフンさんは…
「A、お昼ごはん何食べたい？なんでもいいよ！Aの食べたいものなんでも食べようね〜ちょうどお金も入ってきたし！」
…なんか、嫌いです。
「A？お腹すいてないの？」
不思議そうに私の顔を覗き込むセフンさんは、私の顔を見てふにゃっとした顔で笑う…
ったく、能天気なんだから…。
「…セフンさん、今月の残りの生活費、いくらか知ってます？」
「知らない！お金の管理は全部、優秀なAちゃんに任せてるし！」
「5,000円です」
「さっき入ってきた10,000円があるでしょ？」
「だとしても15,000円！！今月あと何日あると思ってるんですか！？食費に光熱費にスマホの通信料にここの家賃！まだまだ払わなきゃいけないんです！豪華な昼ごはんなんて食べれません！」
「今月まだ日にちあるんだから、そこで稼げばいいでしょ〜」
「そんな都合よく仕事は来ません！！」
さっきのお客さん…何日ぶりだったんだろう。
こんな怪しいお店にくる人など、そうそういるはずもなく。
この相談屋をセフンさんが始めたのはだいぶ前らしいけど、私がここに来てから、もうすぐ1年。
ほとんど毎日金欠だ。
私が来るまで、こんな無計画男はどうやって生活してきたのだろうか。
「…でも、さ、Aちゃん」
セフンさんの顔が、少しだけ真面目な顔になる。
「お金は使える時に使わないと。人生、いつ終わるか分かんないんだから」
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
