『第30話！血染めの裏切り(4)※表現注意』 ページ33
『
ナイフは刺さった。私の右手の甲だ、その向こうには…御主人がいる。急所だ。確かに傷は浅いが、急所から外すほどの力は私にはなかった。
ディオが傷口を広げぬようにナイフを抜いてくれるはずがない。
…中指と薬指の間に銀色のものが割り込んでくるのが見えた。
二重にも三重にもにぶくていやな音がして、ほねが外れるような感覚がした。いたいというよりあつい。歯をくいしばってもたえられず、ナイフがぬかれ、もう傷のなくなったこぶしを握りしめる。漢字がしゃべれない。
「父さァーーーーん！！」
ジョースターさんが叫び、御主人から流れ出た血がディオの手にかかる。それを仮面に塗りつけた"やつ"は高らかに笑う。
発砲音が聞こえた。
すべて一が瞬、なのに私には何十分にも感じられる。痛みだけではない…これは絶望感だ。
守れなかった。食い止めすらできなかった。傷口を外せすら、やつに一矢報いることすら。
悔しくてしかたがない。私に泣く権利はない。
でもまだ守れる人がいる。御主人だって、希望を失った訳ではない。私は私の周りのものに、手を差し伸べ続けなければいけない…義務はまだ残ってる。
警官の撃った弾が着弾し、窓を突き破り外に転げ落ちたディオが痙攣する。やがて動かなくなった。……いつの間にか、外はどしゃ降りになっていた。
「ジョジョ……」
「父さん…ああ…ナイフなんて、普通なら避けられたのに…僕が、石仮面に気をとられたから…僕の身代わりに……」
そう言い、ジョースターさんは涙を流した。でも、御主人は弱々しく微笑むのだ。そういうのは本当に涙腺が緩むから困る。今の私には誰もいない。しいて言えば、スマホの向こうのひとりのみだ。
…随分と感傷的になった。柄でもない。
御主人はジョースターさんの亡き母親…つまり彼の妻の指輪をジョースターさんに託した。
「あのナイフの位置は急所ッ…くそッ！おれがついていながら！」
「あぁッ…ジョースター卿！だからあの時言ったのに！わしの責任だ、わしがあの時、ディオの父親を流島の刑にしていれば……ッ！」
警部殿の独白が始まった。彼がその職について間もない頃の話だった。私はそれとなく、彼に近づく。
…改めて、御主人がいかにお優しい人であるかを思い知った。このオッサンは御主人のために悔いている。見殺しになんてしない。
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さむわん(プロフ) - こばんさん» あなや…感無量です、そこまで見ていただけるなんて…！油断してるとここの夢主はバブみとか言い出してしまいますからご注意なのですよ…… (2017年4月17日 1時) (
レス) id: 1d8895c809 (このIDを非表示/違反報告)
こばん(プロフ) - すごく面白いです！シリアスのシーンにIQ2(ディスってないですw)のセリフをわんさか盛り込むところがめちゃくちゃ面白くてほんとに好きです 笑今後も更新を楽しみにお待ちしております！応援してます！ (2017年4月16日 13時) (レス) id: d99ba419e7 (このIDを非表示/違反報告)
さむわん(プロフ) - ミコさん» ありがとうございます…ありがとうございます……(語彙力の消滅) (2017年4月12日 22時) (レス) id: 1d8895c809 (このIDを非表示/違反報告)
ミコ - 最高です( ´,_ゝ｀)<説明不要 (2017年4月9日 13時) (レス) id: c278301869 (このIDを非表示/違反報告)
さむわん(プロフ) - jojo悪大好き系女子(???????)?さん» ブッ倒れる程嬉しいです…ありがとうございます……！！ (2017年4月4日 13時) (レス) id: 1d8895c809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さむわん | 作成日時：2017年2月27日 21時
